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NON―GMOトウモロコシ種子で米国種子メーカー・パイオニア社と業務提携  JA全農

 JA全農は、非遺伝子組換えトウモロコシ(NON―GMOトウモロコシ)種子の長期にわたる開発・供給について、米国大手種子メーカー・パイオニア社(デュポングループ)と業務提携した。

 日本は飼料用および食品加工用原料のトウモロコシについて、ほぼ全量にあたる1600万トン(年間)を、米国を中心とする海外からの輸入に依存する世界最大の輸入国となっている。そのなかでJA全農は、全農米国法人を活用して、生産農家から集荷・保管および輸出港における船積みから日本までの大型船による海上輸送まで、全農グループ一貫物流を柱に、年間約470万トン(国内最大規模)の輸入者として安定調達・供給を行ってきている。
 だが、1997年の遺伝子組換えトウモロコシ(GMOトウモロコシ)導入以降、近年のエタノール向けなど需要の急増などによって、生産性の高いGMOの作付・生産が増加し、昨年の米国におけるトウモロコシ作付の86%にまで拡大した。
 そうしたなか、国内の生協などからNON―GMOトウモロコシを原料とした飼料で飼育した畜産物をという要望に応え、全農では米国の産地から飼料工場までのNON―GMOトウモロコシの安定供給システム(全農グループ一貫分別物流システム)(図の右)を構築し、高い評価を得ている。最近はコーンスターチ・異性化糖など食品加工メーカー向けにも取扱いを拡大している。
 しかし、GMOの作付拡大によって、将来的にもNON―GMOトウモロコシが安定的に確保できるのかという不安感が広がってきている。全農では、こうした不安を一掃し、長期安定的にNON―GMOトウモロコシを確保するために、米国大手種子メーカーであるパイオニア社(デュポングループ)と、初めての取り組みとして、5カ年という長期にわたるNON―GMOトウモロコシ種子の開発・供給を行う協定を締結した(図の左の部分)。
 これにより、現在、全農が取扱っているNON―GMOトウモロコシ約65万トン(日本のNON―GMOトウモロコシ約200万トンの2/5の3分の1と推定)の大部分の種子を確保することができ、種子から産地での生産と日本までの分別物流・生産の一貫した体制が整ったことになる。
 なお、パイオニア社(パイオニア ハイブレッド インターナショナル インク)は、米国アイオワ州ジョンストンに本社を置くデュポングループの種子会社で、世界的にも代表的なトウモロコシ種子供給者として知られ、従来から全農グループ提携生産農家を中心にNON―GMOトウモロコシの種子提供を行ってきたが、今回の業務提携で全農との関係がさらに強化されたといえる。
 協定期間は、2011年から15年までの5カ年で、協定内容はNON―GMOトウモロコシ種子の開発・供給。目標数量は収穫高ベースで年間50万トンとなっている。

全農グループ一貫分別物流とNON―GMOトウモロコシ種子の新たな取り組み

(2011.01.12)