◆待ったなしの店舗事業改革
2010年度の全国の地域生協の状況は、11月までの集計で、組合員数は前年比102.6%と増えているが、供給高が同98.6%、経常剰余金も同89.3%と「減収減益」となっている。組合員1人当たり月利用高は1万1731円と前年より475円減っている。
事業別に見ると、店舗事業供給高は同97.3%と「引き続き大幅な前年割れが続いて」おり、経常剰余率も3.23%減と厳しい状況にあり「店舗事業の損益構造の改革は待ったなしの課題」と報告されている。
宅配事業も全国70生協の11月累計で、供給高は前年比99%と前年割れとなっているが、そのうち個配事業は同102.5%とやや伸び率は鈍化したものの前年を上回っている。
宅配事業の経常剰余率は2.16%と昨年より0.09ポイント下回っている。さらに「赤字生協が13生協あり、損益構造での生協間格差も広がってきている」という新たな課題が指摘されている。
◆県域を越えた事業展開も
生協法改正を活用しよつば生協(栃木・茨城・群馬)、大阪の泉南生協と和歌山生協など県域を超えた合併が進んでいることも10年度の特徴といえる。また、コープこうべと大阪北生協はこの4月に合併する予定となっている。
さらに、東都生協、常総生協、なのはな生協、信用生協(旧・岩手信用生協)では、事業エリアの県域を超えた拡大が行われており、パルシステム茨城でも計画されている。
また首都圏エリアでは県域を越えた合併を含む組織のあり方についての検討が行われている。
◆12の重点課題に取り組む11年度
2011年度については「生協の存続にも関わる強い危機意識を持って、事業経営の構造改革と事業連帯をさらに強化し、(11次中計の)目標達成の目途をつける年」にしなければならないとしている。
具体的には「全国連帯のもとに産地ネットワーク構築」などにも取り組む「生鮮・惣菜の強化、競争力のあるコープ商品づくり」。「これ以上先送りできない課題」である「店舗事業の黒字化に向けた計画づくり」。そして「宅配事業での剰余を確保し続けることが生協事業の命綱」なので「宅配事業収益性の維持・改善、仲間づくりと定着、次世代宅配への挑戦」など12の重点課題を掲げた。
◆TPPで学習討議資料を作成
全体討論では、TPP問題について、いくつかの地域生協などから「参加に反対」という意見が出された。日本生協連としては「モノやサービスの自由化のみならず、産業・雇用・消費など広範な分野にわたる問題」だが、「冷静な議論ができるデータがない」ので、3月上旬までに学習討議資料を作成し、配布する。そのことで「事実とデータに基づいた国民的な議論」をすべきと矢野和博専務が討論のまとめで述べた。
また記者会見で芳賀唯史専務は、さまざまな性格の生協の連合体である日本生協連としては「賛成とか反対ということはムリ」だと、日本生協連としていずれかの態度表明をすることはないと語った。
「2020年ビジョン」については本紙11月30日号の通りだが、これまでの討議を踏まえて2月上旬に「第2次案」が出され、その後全国6カ所で討論会を行い、内容の充実を図り、6月の総会で最終決定する予定だ。