検討事項そのものが前回までの「農協からの信用・共済事業の分離」から「農協の農業経営支援機能の再生・強化」と大幅に修正された。
これにともなって「将来的に農協から信用・共済事業を分離する方針を決定すべきである」とした改革案も削除された。
修正された内容では、農業の強化に向けた農協の役割が重要との観点から、▽農業関係事業部門の赤字を信用・共済事業部門が補てんしている、▽農協運営を有能な外部専門家に任せることが難しい仕組みになっていることを強調している。
そのうえで改革案として[1]信用・共済事業部門から農業関係事業部門への補てん額の段階的な縮減を図る中長期的な計画の策定(23年度計画策定)、[2]農協の経営力強化のため優れた経営スキルを有する人材を登用し経営を委ねられるような制度設計の抜本的な見直し(23年度措置)を求めた。経営力強化のための制度見直しでは、現行の経営管理委員会制度の改革などを念頭に置いているという。 結局、「農協からの信用・共済事業の分離は求めない」(内閣府)内容になった。
内閣府によると、昨年12月に信用・共済事業の分離を提起したが、その後、農業強化という目的からはずれ、農協の事業分離そのものが目的となっているかのような反響が強まったことから、農業強化のための改革であることを明確にする改革案に修正すべき、という声が委員の間にも高まった。この日の議論でも「信用・共済事業を分離すれば農協がつぶれることもある。それでは農業を強くすることにならない。信用・共済分離自体が目的ではない」などの意見が出たという。