基本指針に盛り込まれた棚上げ備蓄方式による備蓄運営の基本的な考え方は、(1)適正備蓄水準は100万t(6月末)、(2)国産米を5年程度備蓄、(3)備蓄米の買い入れは(毎年20万t)作付け前の事前契約を基本に一般競争入札を実施、(4)備蓄米は不足時以外は、備蓄5年後に毎年20万tを飼料用などに販売する、とされた。
棚上げ備蓄方式への移行によって、新たに22/23年の備蓄運営指針が決められた。
昨年6月末の備蓄量は98万t。22年産米から18万tを買い入れ、備蓄米のうち年産の古い18年産から16万tを飼料用として売却する方針。これによって今年6月末の備蓄米は100万tとなる(表)。
ただ、この指針では不足時に放出する際の具体的なルールが定められていない。審議会で農水省は、早ければ3月にもルールを示すと説明した。
買い入れについては、出来秋の価格に影響を与えないよう作付け前に入札するとされているが、緊急時の放出をどう判断するのか。米の需給がひっ迫するという「緊急時、との認識をいつの時点でするのか」、「どの程度放出するのか」(高橋総合食料局長)がポイントで、これまでの例では当年産の不作が懸念される夏ごろがその判断の時期となる。
ただ、放出すれば米価を冷やすことになる。その一方、豊作による過剰米対策や、需要の大幅な落ち込みに対する需給調整を行わないというのが現在の米政策の基本だ。
委員のJA全中・冨士専務は、現在の仕組みでは「生産者からすればもう米価は上がらないのではないか、という不安感にかられている」と強調した。