今回は、昨年4月に日本生協連の「食料・農業問題検討委員会」が、「食料・農業問題に対して生協は何ができるのか、考えうる課題を網羅的に提案」した『食料・農業問題と生活協同組合の課題〜食卓と農業をつないで〜』を受けてのテーマ設定だといえる。
この委員会の提案では「事業組織としての役割と課題」として7項目をあげているが、その第1に「産直事業の展開」をあげ、「産直事業を生協事業の重要な柱と位置づけ…産地との関係や適地適作を重視」するとしている。さらにその具体策として、第2の課題では「米事業の展開と米消費の拡大」、第3の課題では「国産畜産物の展開―国産飼料を使った畜産物の開発と普及」、第4の課題として「国産原材料を使った加工食品などの開発・品揃えと普及」をあげ、産直事業に積極的に取り組んでいくことが重要だとしている。
今回の研究交流会では、基調講演に中村桂子JT生命誌研究館館長による「生命を基本に置く社会―農業のもつ力」と、従来とは一味違うテーマが設定されていた。
その後、実践報告として、旧角田農協との間で始まって40年を経過した「みやぎの産直40年と今後の課題」を齋藤清治みやぎ生協産直推進本部長が報告。
次いで事業連合としての産直事業の取り組みを「コープネット事業連合の食と食料生産の取り組み〜産直を軸として」と題して赤松光コープネット事業連合理事長が報告した。
次いで福永晋介産直事業委員会代表委員が「これからの生協産直を考える」と題して産直事業委員会からの報告を行った。福永氏は『農産物品質保証システム』(生協GAP)の改訂内容を報告するとともに、生協産直は「安全で、安心して利用できる商品が欲しい」という組合員の要望から生まれた事業だが、現在では「多様な取り組みに発展」してきた。その「各生協が組合員と築いてきた産直の到達点から、次のステップを組合員と一緒に考え、踏み出す」時期にきていると述べた。
2日目は、「食料自給率向上と生協事業の関わり」「地産地消の推進と生協事業の関わり」「多様な形での農業への関わり」をテーマに分科会が行われた。
今年の参加者は、産直生産者も含めて約300名だった。
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あいさつする芳賀専務