◆強毒タイプウイルスがまん延
1月には21日に宮崎県宮崎市佐土原町で疑似患畜が確認され、その後、25日に鹿児島県出水市、26日に愛知県豊橋市で発生が確認された。
宮崎県の1例目、佐土原町の農場から分離されたインフルエンザウイルスはN5H1亜型の強毒タイプであることが判明、昨年11月に島根県で分離されたウイルスと99%以上遺伝子の型が同じであることも分かった。
鹿児島と愛知でもH5N1亜型であることが分かっている。
その後、宮崎県では1月中に6例目までが確認された。
2月に入ってからは大分県大分市の採卵農場(約8100羽)でも疑似患畜が確認され、宮崎県では延岡市、高千穂町などでも発生、6日未明には10例目となる事例が門川町(ブロイラー飼養約3万羽)で確認された。
いずれの事例も速やかに殺処分が実施されるとともに、周辺農場への検査も実施、陰性が確認されば順次、移動制限区域を10kmから5kmに縮小、卵の出荷再開などを認めている。
◆渡り鳥が原因?
今回は採卵鶏やブロイラーなどへの感染以前に、昨秋から野鳥への高病原性鳥インフルエンザの感染が環境省によって確認されている。
昨年10月、北海道稚内でカモの糞からH5N1亜型が確認されて以降、鳥取県米子市(コハクチョウ)、鹿児島県出水市(ナベヅル)、さらに今年1月には福島県、高知県、兵庫県で野鳥からH5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスが確認されている。
宮崎県で感染が拡大しているが、筒井信隆農水副大臣は2月3日の会見で、宮崎県に集中している理由は「断定はできない」としながらも、「宮崎での渡り鳥の数が、従来とくらべたら圧倒的に多い。倍ぐらいだと聞いている」として、「渡り鳥の可能性が高いと思う」と述べている。
宮崎県での発生農場への疫学調査では車両や人の移動による「横のつながり」が認められない事例が多いこともそうした推測の根拠となっている。大分での発生も宮崎の渡り鳥が北上した可能性があるという。
◆野鳥などの侵入防止策を
1月に発生した愛知、鹿児島と宮崎の7例め(2月1日確認)までは、2月6日までに発生農場での殺処分などの防疫措置のほか、移動制限区域(半径10km)内のすべての農場検査を実施した結果、陰性を確認。移動制限区域を5kmに縮小し、農場での異常がないか確認したうえで、卵の出荷ができるようになっている。
農林水産省は1月26日の高病原性鳥インフルエンザ防疫対策本部で「全都道府県に早期発見と早期通報の徹底を通知」している。
産地では▽人・車両等による侵入の防止、▽野鳥・野生動物による侵入の防止、▽飲用水、飼料の汚染による侵入の防止などの徹底が求められている。
(図)
2月2日現在の高病原性鳥インフルエンザ確認状況(農水省HPより)