22年度から戸別所得補償制度のモデル対策が実施され23年度からは本格実施となる。一方、20年間設置されてきたコメ価格形成センターは今年度末に解散する予定で、米をめぐる状況は大きく変化している。
懇談会で農水省食糧部の荒川隆部長は、22年度モデル事業について
「現場にとまどいもあったかもしれないが協力いただいた結果、(生産調整参加の)メリット措置として誘導し過剰作付け面積が減ったという大きな成果を上げた」と話し、また、価格下落に対する変動部分による補てんが行われることから、「経営の支えという目的は達成されていると考えている」などと述べた。
ただ、コメ価格形成センターの解散や、政府備蓄米の棚上げ方式への移行など価格形成の面で大きな転換期にあり、「23年度以降の制度で何が必要かを検証していきたい」と話した。
この日の意見交換では22年産米価格の下落の理由、背景などがおもな話題となった。
21年産がそもそも過剰だったこと、価格が下落しても生産者には標準的な販売価格水準まで補てんされるという制度への変更、などを要因として指摘する意見があった。流通業界からは現在の米価格は落ち着いているとの認識が示された。
ただ、今後の価格形成の場のあり方などについては議論されず、米の需給、流通について実態に即した情報収集と提供の必要性が強調されたという。
懇談会メンバーの佐藤正志・農業生産法人新潟ゆうき代表取締役(全国稲作経営者会議会長)は、価格が下がった分は補てんするという戸別所得補償制度について「いつまで続くのか。下支えするといってもいつはしごをはずされるのか、というのが生産者の実感だ」などと話している。
◎懇談会メンバー(50音順):川崎史郎(JA全農米穀部長)、木之下悟(全集連常務理事)、佐藤正志(新潟ゆうき(株)代表取締役、全国稲作経営者会議会長)、菅原章夫(JA栗っこ代表理事組合長)、千田法久(千田みずほ(株)代表取締役社長)、高木賢(弁護士)、中嶋康博(東大大学院農学生命科学研究科准教授)、箱石文祥(ホクレン米穀事業本部長)、飛鷹裕之(三井物産(株)食料・リテール本部穀物・飼料事業部穀物室長)、前田敏行((社)米穀安定供給確保支援機構常務理事)、柳沢雅治((株)ヤオコーグロッサリー部ドライ食品担当部長)、山本幸雄(木徳神糧(株)専務取締役米穀事業本部長)、吉川和男((株)神明専務取締役兼米穀本部長)