学習会では、雑誌『THE JOURNAL』編集部記者の上垣喜寛氏と農文協編集局の甲斐良治氏が講師となり、実際どのように国民の暮らしに関わってくるのかが見えてこないTPPの実態について、「TPPとはそもそも何なのか」、「何が問題なのか」―について学んだ。
上垣氏はTPPが浮上してからこれまでの経緯を踏まえて説明。そのうえで、問題点として政府の一方的な進行や、世論を捉えられていないメディア報道などを挙げ、影響は市場アクセスだけでない24分野の広範に及ぶといったことも指摘した。
◆メディアに流されない判断・発信を
学習会後、TPP交渉についての参加者の意見は「反対」と「わからない」の両者で割れた。
「反対」だという札幌市の青年団員は「参加国であるニュージーランドのよくない実態を耳にした。北海道は水資源が豊かだが、中国企業から水が買われていて、今後さらに外国に買い荒らされて危機的な状況に陥るのではないか」と不安を述べた。
実家が農業を営む北海道の女性は、「家族がTPPは反対だと話しているのは聞いていた。言葉くらいは自分も知っていたが、これまで内容まではわからなかった」、山形県の青年団員は「反対のデモ行進は数カ月に一回やっているが、これまで具体的な内容はわかっていなかった。この学習会に参加して、反対理由を自分のなかにおとしこめた」と学習会の意義を示す発言もあった。
一方で「言葉の意味もアメリカの意図もよくわからないので賛成も反対もできない」など、「わからない」という意見も多く、甲斐氏は「その『わからない』を大切にしたい。東京のメディアは“「賛成」7割”などと言い放っていたが『わからない』声を発信していくことが大事だ」と述べた。
また、「95年以降、農業分野で唯一元気になったのは直売所。それは菅首相がイメージする『強い農業』とは対極にいるであろうおじいちゃん、おばあちゃん、おかあさんたちが始めたこと。その地域に当たり前に生きている人に注視して活動していってほしい」とメッセージした。