東北地方太平洋沖地震が発生して以降、被災地への救援物資の輸送が滞ったり、写真のように首都圏の量販店やコンビニなど小売店の店頭から食料品や生活必需品がなくなり大きな社会問題になっている。
首都圏への食料品や生活物資の供給が滞っている理由は、地震被害や「計画停電」などで一部の工場で生産が遅れていることや、物流センターの機能が低下していることなどだが、それは限定的であり、その影響はそれほど大きいとは考えられないと専門家はみている。むしろ交通規制や輸送用トラックの燃料(軽油)が不足し、配送ができないことが大きいと分析する。
被災地に物資を運んでも戻りの燃料を確保できる見込みがないために、救援物資の運搬ができない。首都圏へ生活必需物資を配送する場合も帰りの燃料確保が難しいので仕事はあっても引き受けられない、という運送会社の悲鳴に近い声がある。
こうした状況を受け、(社)全日本トラック協会は、「トラック用燃料(軽油)の確保、購入に大きな支障が生じはじめているとの報告が、被災地のみならず全国各地」からあり、このまま「事態が推移すれば、被災地への緊急輸送を含め、国民生活を支えるべき物資輸送そのものが、燃料不足のために深刻な困難に直面」するとして、次のような要望を行った。
(1)「あらゆる手段により、国内用の輸送用燃料(軽油)の供給確保策を講じ」、必要な場合には、「大量に出されている軽油の海外輸出」を差し止めても「国内用の確保を優先」する。
(2)軽油元売段階での生産・供給量については致命的な問題はないというが、現場の流通段階では「歴然たる制約(スタンド閉鎖、必要量が販売されない)が顕在化」しているので、「円滑な公共輸送を確保するための燃料供給を行うよう、流通現場に指示、徹底」する。
(3)営業用トラック(緑ナンバー)、とくに「日常の生活必需物資や政府・自治体の要請を受けて緊急輸送に従事するトラック」には「必要量が販売されないような事態は速やかに解消されるよう、断固たる対策」を要望している。
被災地へ速やかな救援物資を届けることと、無用な買い占めをなくすために輸送用燃料を国が確保することは、今もっとも急がれることではないだろうか。
(写真)
上:空になった精米の棚。奥に見えるのは、わずかに残った「もち米」
下:カップ麺や袋麺もあっという間になくなった
いずれも3月14日計画停電での閉店時間がすぎ、再開されたの19時30分過ぎの店内(船橋市の量販店で)