◆攻めの担い手とは?
政府は6月にTPP参加問題と合わせ「農業再生の基本方針」を決めることにしており、3月に中間整理を行う予定にしている。
中間整理のためのたたき台では、「攻めの農業へ、5年間で加速」を掲げ、政策の柱として「競争力・体質強化」による「産業としての農業の実現」と、同時に「地域振興」を打ち出した。
産業としての農業実現のため▽攻めの担い手実現、▽農地の流動化・集約化、▽流通効率化、▽食の安全・消費者理解などを挙げ、土地利用型農業の立て直しを最重要課題としつつ、その他の品目の課題も検討していく、と整理している。
また今後は、輸出や新用途創出による市場の拡大と、農業への参入促進、6次産業化、品種改良などが必要だとしている。このたたき台で示している「攻めの担い手」とは、これらの課題に取り組む担い手として考えられており、そこに農地を集約するというイメージのようだ。具体的な担い手像は「今後、検討する」(平野達男内閣府副大臣)という。
同時に、農地集約化の課題として「(農地の)出し手の理解促進」という項目も盛り込まれている。鹿野農相もこの再生実現会議で「出し手対策が重要」と強調している。そのほか、流通の効率化では、農協の機能の見直しや、新規参入などが検討項目に上がっている。
◆開国の恩恵を分配
一方、「地域社会を支える農業」に着目した「地域振興」策では、中山間地域対策のほか、社会保障との連動など他分野との連携・融合といった問題意識も示されている。
これら「産業としての農業」と「地域振興」の2つを支えるのが直接支払い制度、すなわち戸別所得補償制度である、という整理になっている。
一方、政府は高いレベルの経済連携との両立をめざす方針で、昨年11月に閣議決定した「包括的経済連携に関する基本方針」には、「消費者負担から納税者負担への移行の検討」も盛り込まれている。
そのためには財源が必要となるが、たたき台では「開国による恩恵の分配メカニズムの構築」を掲げた。
平野副大臣は「WTOでもEPAでも、あるいはTPPでも、それに合意するということは、日本にとってメリットがあるということ」だとし、一方で高いレベルでの経済連携では、農業を例外扱いできなくなることも考えられることから、「(経済連携による)プラスの部分を、影響を受ける分野への影響緩和の財源に使う」といった考え方として整理するという必要があることから、この「たたき台」に提示したという。