青年就農交付金は1973年に創設された。当初は条件不利地域が対象だったが、後に平場にも拡大された。
支援要件は18歳から40歳で農業高校卒業時の国家資格取得が必要(職業バカロレア〈大学入学資格〉または農業技術資格免状)となる。
そのほか、就農発展計画の策定や需給後1年以内の就農と最低5年の継続が必要となる。
農水省の調べでは、交付額は平場地域で年88万円〜190万円、条件不利地域で113万円〜246万円、山岳地域では182万円〜395万円となっている(1ユーロ110円で換算)。
09年の実績では交付金を受給している青年農業者は5891人。農家の子弟が7割を占めるという。平均年齢は28.3歳で平均受給額は約180万円(1万6500ユーロ)だった。予算総額は107億円(9700万ユーロ)。交付金は全額が税額控除される。
フランスでは、この制度によって40歳未満の農業者が増加、1970年には15%だったのが03年には29%まで増えた。新規就農者に占める40歳未満層は6割を超え、青年就農交付金受給者の10年後の定着率は95%だという。
これに対して日本では、40歳未満の割合は1985年の15.9%が09年には4.8%に減少している。この間、フランスとはまったく逆のコースをたどってきたことになる。
現在組織討議を行っているJAグループの政策提言案でも同国の政策をふまえ、わが国でも青年就農者に対しては5年程度の経済的支援が必要だと提起している。