◆深刻な塩害も
国土地理院などは衛星写真などを使って津波の浸水範囲を調べているが、農水省がその範囲内で農地がどれほどあったかを調べたところ、2万ha(約200平方km)以上になることがわかった。
国土地理院が3月18日に発表した調査結果によると、津波の浸水範囲は青森、岩手、宮城、福島の4県で401平方kmだった。農水省はこのうち青森を除く3県で合計200平方km以上が農地だったと試算した。
このほか、茨城県の鹿嶋市でも50haほど、千葉の旭市で2haほどの浸水被害が報告されている。
津波による被害をうけた農地では、深刻な塩害が指摘されており、地域によっては復旧までに1年以上かかるおそれもある。
(写真)
3月14日の宮城県石巻市の衛生写真。濃い青の場所は、地震発生から3日経ってもいまだに水がひいていないことがわかる。(NASAホームページより)
◆茨城で225ha、千葉で740haが液状化
またこのほかに、地震の被害状況として、農地の損壊が10県(青森、岩手、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、長野、三重)で590カ所、農業用施設などの損壊が16県(上記10県、宮城、秋田、山形、神奈川、静岡、新潟)で5955カ所報告されている。
農地被害では、茨城、千葉の利根川流域を中心に液状化による水田の損壊などが多数報告されている。現在までに判明している分だけでも、茨城で225ha、千葉で740haの農地が液状化した。
農業用施設では、パイプラインや集落排水処理施設などおもに水路の損壊が報告されているが、現在通電していなかったり、水を通してみないと損壊状況がわからないところが多く、被害の詳しい状況はいまだ不明だ。
茨城県では、例年なら4月上旬から早場米の田植えが始まるが、現状ではいつ田植えができるかわからない。県の農村計画課では、「自分の地域に被害が見当たらないから、ということで苗の準備を始めても、水路や施設の状況次第ではそれがすべて無駄になるおそれもある。常に詳しい正確な情報収集をするように」注意を呼びかけている。