農政・農協ニュース

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加工原料乳の補給金単価を引き上げ  平成23年度の畜産物価格が決定

 政府は3月25日、平成23年度の畜産物価格などについて食料・農業・農村政策審議会からの答申を受け、同日決定。加工原料乳の生産者補給金単価を1kgあたり0.1円値上げするほかは、すべて昨年度から据え置きとなった。

 加工原料乳の生産者補給金単価は1kgあたり11.95円と、平成20年7月に配合飼料の価格高騰などにより期中改定を行って以来の引き上げとなった。限度数量は据え置きで185万トンに決まった。
 補給金単価を上げた理由は、初妊牛の価格上昇と飼料価格の上昇など。限度数量については、22年度は夏の猛暑の影響などで生産量は181万トンほどで限度数量に満たなかったが、増産に向けての取り組みを喚起するなどの意味合いも込めて据え置きとなった。
 指定食肉の安定価格、肉用子牛の保証基準価格と合理化目標価格はすべて据え置き。価格は20年以来変動なし。据え置きになった理由は、直近の配合飼料価格や繁殖雌牛費の上昇などがあった一方、生産者の大規模化などがいっそう進み生産コストが下がったため。
 審議会へ諮問していない鶏卵の補填基準価格などについては、補填基準価格が1kgあたり183円で昨年度比で2円引き上げ、23年度から新設される安定基準価格は1kgあたり156円に決まった。

加工原料乳生産者補給金単価と限度数量

指定食肉の安定価格

鶏卵の補填基準価格と安定基準価格

 畜産物価格が関連対策などと切り離されて独自で決まるのは異例だが、3月11日の東北関東大震災の影響なども考慮し審議会では特に異論は出なかった。
 震災や福島原発事故の被害などについて委員からは、「畜産農家や関連業界の経営基盤が損なわれないよう、適切な復興支援などを行うべきだ」との意見があった。このほか、配合飼料価格の高騰について「価格の期中改定も含めた機動的な対策を検討すべきだ」、価格政策全般について「今後も生産者の保護だけでなく、食料戦略が国益の大きな要だということを見失わないように審議すべきだ」などの意見が出た。

(2011.03.29)