会合では原発事故の被害状況について農林水産省をはじめ関係各省庁から報告され、それに基づいて議論をした。
多くの委員からは、明らかになっている被害のなかから、緊急性の高いものから指針を示すべきとの意見が相次いだほか、風評被害についても損害範囲として議論していくべきだとの指摘があった。
会長に選出された能見善久・学習院大教授は4月22日の次回会合で一定の被害についての指針案を示し、その場で了承を得る方針を示した。
能見会長は、まず避難指示による被害が対象となるとの考え方を示し、記者団に「20km圏内の方々は自分の家を捨てて避難しなくてはならず、そういう方は差別なく一定の範囲での苦痛を被っておられるので、一律に賠償してもいいのではと個人的には思っている」と述べた。
ただし、農業被害など営業的な損害については「全部一律にすべて同じタイプの損害ではないので、類型をみてどういうタイプの損害があるのか、議論をしたうえで賠償の対象になるかを確認しなくてはいけない」、「出荷制限は、個人的には賠償範囲に入ると思うが、その問題についてまで次回、指針でできるかというと、もう少し時間がかかるのではないか」、「単に作付けができなくて収入が得られなかったというだけではなくて、次の年の作付もできないということも同時に被っているでしょう。こういうものを一々詰めて賠償範囲に入るかどうか、基本的には入ると思うが一応は議論しなくてはいけない」と農業被害についての指針を示すまでには時間がかかる見通しを示した。
損害類型など整理したうえで7月にも大枠の指針を示したいという。
ただし、賠償範囲については「東電に資力があるかどうかという問題とは関係ない。無限責任だから、こういうものが賠償範囲に入りますよ、というものが決まる。賠償されるべき損害は淡々と客観的に決めるのではないか」と審査会の役割について述べた。