連絡会を主宰する筒井信隆農水副大臣は、▽出荷制限、▽出荷自粛、▽風評被害は明らかに賠償範囲になることや、第一義的な責任は東電にあることを強調し、農水省としても東電に対して、これまで▽仮払いの実施、▽請求・相談窓口の設置、を求めてきたことなどを報告した。
東電の役員は改めて謝罪し、連絡会で関係者からの被害状況を聞き取った今後の取り組みの参考にしていきたいと述べたが、賠償については原賠法に則って審査会で示される指針に従って実施するとの回答にとどまった。
仮払いについても、「東電が損害の範囲を決め、賠償額を決めるのは難しい」として消極的な姿勢を示した。
ただ、東電は避難区域と屋内退避区域を対象に1世帯あたり100万円の仮払い補償をすることを15日に決めている。これについて東電側はこの措置は政府の「経済被害対応本部」が被災者に対する緊急支援策として決定されたことを受けたものだと説明。農業被害についての仮払いも、政府が経済被害対応中央本部などで一定の方針を示すことがあれば「そうしたものを拠り所にしていきたい」との言及はあった。
今回の損害範囲を決める審査会の議論では、既報にように農業被害についての指針決定に時間がかかるとの見方も出ている。
この点について、筒井副大臣は「指針作成が遅れるとの見通しもあるが、損害はすでに発生している。損害が発生した時点で農業者などには請求する権利があり、東電には賠償の義務が生じている。ただちに支払いができるし、それを考えてもらわなければいけない」と改めて強調した。
また、損害範囲について示す審査会の「指針」とは「一般的な基準であって、われわれは指針に拘束されるものではない」とも述べた。
(写真)
連絡会を主宰する筒井農林水産副大臣