農政・農協ニュース

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情報発信と消費拡大の取り組み継続で緊急アピール 野菜需給協議会

 農畜産業振興機構は一部地域での野菜の価格下落や、被災地を中心とした生産・流通・需給状況についての報交換をしようと4月26日、野菜需給協議会の幹事会を開いた。的確な情報発信と野菜の消費拡大に取り組むことなどを決めた「東日本大震災に伴う被災地支援及び国産野菜の消費拡大の推進について」の緊急アピールを満場一致で採択した。

◆北関東産と他県産で価格差2〜3倍

あいさつする農畜産業振興機構の木下寛之理事長(中央) 東京中央卸売市場の3月から4月の野菜価格の推移が報告され、3月21日以降、茨城、群馬、千葉産の野菜が他県産より低い価格で取り引きされていることがわかった。
 ホウレンソウは3月上旬はどの産地も平均価格であるおおむね1kg300円ほどだったが、3月21日に福島県産の出荷制限が指示されてから群馬、茨城、千葉産は値を落とした。埼玉産が400〜500円ほどで平均価格より高く推移している一方、千葉産は250〜350円ほどと100円ほど安い。4月9日に群馬、同19日に茨城の出荷制限が解除されてからも、この3県と埼玉県産の価格差は100円ほどある。
 茨城県産のレタスは3月26日に1kg60円ほどと福島県の出荷制限指示以前に比べて半額ほどに下がり、他産地とは2.5〜3倍ほどの価格差があった。4月23日現在でも50円ほどの価格差がある。茨城県産のハクサイは、同じく3月26日に1kg60円ほどで、同日140円ほどの兵庫県産と2倍以上の価格差があった。

(写真)
あいさつする農畜産業振興機構の木下寛之理事長(中央)

◆野菜の輸入量増加を懸念

 JA全農は百瀬祥一園芸農産部部長が被災地支援の取り組みなどを紹介した。4月以降各地で野菜即売会を開いたり農産物の応援セールなどに取り組んできた。「産地間の格差が縮まりつつあるというが、まだ完全に是正されたわけではなく、これからも消費拡大に向けて継続的に取り組んでいく」とした。
 農水省生産局の菱沼義久参議官は「(震災地を)大規模な施設園芸基地として再興してはどうか」などの意見が出ていると紹介。消費者団体からは計画停電などの影響をうけて、「節電、省エネ料理などへの関心が高まっている」ことが報告された。
 緊急アピールでは、外食産業の不調による野菜全体の消費減退と、加工業務用野菜などの輸入増加への懸念などから、産地と農家を支援し国産野菜の消費を維持するため、放射性物質の影響と市場に出回っている農産物の安全性を積極的に情報発信し、野菜の消費拡大に取り組むことなどを決めた。

(2011.04.27)