提言では、東日本大震災の被害からの復興は「目下、国内最大の課題であり」、「国を挙げ総力を結集しなければならない」としている。
同時に、「震災後のより強い国内経済、産業基盤の構築を通じたグローバルな事業展開、円滑なサプライチェーンの構築のためにも」、WTOドーハラウンドの年内妥結やTPP交渉への早期参加は、「依然としてわが国にとっての重要な政策課題である」と強調している。復興に向け、TPP交渉への早期参加の必要性がますます高まっているとの認識だ。
そのTPPについての認識は、APEC(アジア太平洋経済協力)で提唱されているアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)を追求していく道筋の一つであるというもの。
FTAAPの構築に向けては、ASEAN+3(日中韓)、ASEAN+6(日中韓に加えて印、豪州、NZ)といった枠組みによる道筋も構想されているが、現在、交渉段階にあるのが唯一TPPであるため、これを推進すべきというのが日本経団連の主張だ。
しかし、APECは1994年のボゴール宣言でアジア・太平洋地域での自由貿易圏実現を宣言したものの、95年の大阪行動指針では、その実現に向けては、各国の多様性を認め柔軟に対応する宣言を採択している。06年に提唱されたFTAAPもその延長線にある。
一方、TPPは関税撤廃を原則とする協定。したがって、そもそも各国の多様性を認めた貿易圏づくりをめざしてきたAPECの取り組み方向とは違う。こうしたことから、TPPをFTAAP実現のための道筋だとする日本経団連の主張に、JAグループなどは「論理のすりかえがある」と批判してきている。