◆金融事業の利用者が准組合員に
JC総研は昨年11月に「准組合員に関するJAトップアンケート」を実施、360JAから回答を得た。
准組合員が増えるもっとも大きな理由は「ローン利用者が准組合員になるから」で44.2%を占めた。「貯金利用者が准組合員になるから」(15.7%)と合わせると59.9%と6割を占め、金融事業利用者の准組合員加入が多いことが分かった。ただ、「准組合員の加入促進に取り組んでいるから」も24.8%と約4分の1となった。
准組合員への対応については「重要な経営課題の1つとして位置づけたうえで対応している」が46.9%、「経営課題としての重要性は相対的に高くはないが対応は必要である」が48.0%で、多くのJAが重視せざるを得なくなっていることが分かった。
しかし、「准組合員に対する対応方針を持っているか」との質問には「いいえ」が72.9%を占めた。准組合員への対応は重要な課題と認識していながらも、調査時点では多くのJAが対応方針を持っておらず、ギャップがあることが示された。
◆JAの目的を改めて考える
今後の准組合員への対応についての考えは「総合的な事業利用を推進する」(319回答)、「JAの事業活動内容をアピールしJAの目的などを理解してもらう」(287回答)、「各種のJAの活動(食農教育、教育文化活動)への参加を勧める」(278回答)などが多かった。
また、准組合員のJA運営の参加は、「総会、総代会、事前説明会などに出席して意見を述べる」は6.3%にとどまり、もっとも多かったのは「准組合員が参加する活動の場で意見を述べる」の45.2%。総代会などを通じてJA運営に参加することについては慎重な意見が多数を占めた。
今回のアンケートでは、JAの社会的役割についても質問している。それによると「地域農業の振興を主とするが地域住民の暮らしの向上も目的とする協同組合」が59.7%ともっとも多かった。ただ、「農業者の所得確保と地域農業の振興を主たる目的とする協同組合」も28.2%と3割近くを占める。また、「農業者に限らない地域住民の暮らしの向上を主な目的とする協同組合」も8.5%あった。
JC総研ではこのようにJAの目的認識自体に多様性があることから、「今後はそれぞれのJAごとに、経営理念を改めて明確にし、それに基づいた准組合員への対応方針=『准組合員政策』の明確化が求められている」と提起している。
第25回JA全国大会決議では「『農』や『くらし』を起点とした准組合員の拡大」を掲げ、「准組合員の支店運営委員会への参加や総代会へのオブザーバー参加をすすめる」ことなどが盛り込まれている。