大臣要請に先立って震災発生から3カ月を機に茂木会長は記者会見を開き、復旧・復興に向けたこれまでのJAグループの取り組みと今後の決意を話した。 震災以来、人と人とのつながりの大切さなどへの価値観が高まっているが「復興には非常に長い時間がかかる。これからも協同の心を持つJAグループが全力で支えていく」と話し、被災地では新しい活力ある地域づくりが求められているとして「持続可能な地域ごとのビジョンが必要。復興の議論に参加し農業者の声を反映させていきたい。国は既存の枠組みにとらわれないスピード感のある対応が必要」などと強調した。 要請を受けた鹿野農相は復旧支援でのJAの協力に「感謝申し上げる」と話し、復興に向けては「現場に足を運んで徹底的に声を聞き吸収していきたい。省全体が緊張感を持って取り組む」などと述べた。
◆復興ビジョン策定を
第2次要請は4月の第1次要請での未実現事項の具体化と新たな要望を追加、(1)地震・津波被害からの復旧対策の迅速化、(2)新たな活力ある地域・農業づくりに向けた復興ビジョンの策定・実践、(3)原発事故対策の3つを柱としている。
復旧対策ではがれき処理、ライフラインの復旧、仮設住宅の設置などの加速化を求めた。 復興対策では、被災農地を国が一旦買い上げ、復旧可能な農地については農業者に貸し付けて将来は農業者が買い戻すことができる政策などを求めた。
津波などで農地が大打撃を受けた地域では、営農再開に向けた「先が見えない悩みがある」(全中・冨士専務)。一方、JAグループは集落単位で持続可能な農業の担い手経営体をつくりあげることを「農業復権」提言(5月理事会決定)で提起しているが、こうしたビジョンづくりとその実践のためにも、「たとえば県農業公社など買い上げ、権利調整をする」(同)などの仕組みが必要と訴えていく。
また、営農再開までの雇用対策、所得補償や、農業関係の既往債務については「政府機関で買い上げ超長期にわたり無利子による棚上げを行う」といった2重債務問題の解消策も求めている。
そのほか被災地域JAの経営基盤強化対策、原発事故対策では早期の賠償支払いや、避難区域の損害賠償、国の責任による安全な土壌確保などを求めた。また、品目特性に応じた適切な放射性物質の検査方法と基準値の設定、出荷制限の解除ルールの設定なども早急に実施すべきだとしている。