◆情報発信力ある人に食農教育を
塾の参加者は田植えと収穫、加工品作り、農業施設の見学などと併せて毎回開催する講座にて、TPPと自給率、農薬の“ABC”、米作の現状・課題と水田の役割、など農業とJAの取り組みについて年間を通じて学び、その感想をインターネットなどで発信する。もちろん、JA側から「こんな主旨に基づいて・・・」などの依頼はせず、参加者には「思ったことを書いてほしい」と伝えている。
JAの広報としては、従来よりホームページをはじめ、月1回の情報誌、年2回のコミュニティ誌を含め、月1回の農産物直売所「夢未市(ゆめみいち)」来店者向けフリーペーパーなどを発行している。今回、新たに地域の人たちに農業・JAへの理解を深め"食と農の応援団"になってもらい、外部から情報発信をしようとこの事業を始めた。
JAがこのような広報と食農教育をかけあわせた事業を始めた背景には、昨年22年度を「教育文化活動元年」と定め、すべての事業で教育文化活動を意識しようとの取り組みを始めたからだ。
井萱修己(いがやおさみ)代表理事組合長(写真右)は「教育文化活動はJA運動のエネルギー源」だという。役職員、組合員ともに教育文化活動によって協同組合の理念を学ばなければ、JAの本来的役割は果たせない。そこで教育文化活動を、(1)教育学習、(2)情報広報、(3)生活文化、(4)組合員組織の育成、と4つの活動に整理し、それぞれの事業の位置づけを明確にした。「夢未塾」は、教育学習や情報広報にあたる活動だ。
◆教育文化活動を事業の柱に
教育文化活動のさらなる推進のため、4月には常勤役員、部長、支店長ら27人からなる教育文化活動推進委員会と、その諮問機関として若手職員を中心とした23人でつくるワーキンググループを設置した。
これまで本店の総合企画部が主導してきた教育文化活動だが、役職員の間で活動に対する意識の差があった。しかし「JAは総合事業をしている以上、常に全役職員が教育文化活動を意識しなければ本来的な運動にはならないし、事業の総合性も発揮されにくい」(井萱組合長)と考え、すべての部署、支所店の代表者が協議することでJA全体として教育文化活動へ真剣に取り組む体制を整えようというのが狙いだ。
4月22日の第1回会合では、今年度からの取り組みである通年型の「組合員講座」や、「総代研修会」、「准組合員の集い」など新たなイベントの実施について検討した。
井萱組合長は「教育文化活動は畑を耕すのと同じで、すぐに芽は出ない。しかし、それなしでは10年、20年先のJAの姿は描けない」として、今後も教育文化活動を事業の柱として積極的に展開していく姿勢だ。