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取引慣行の改善進まず 食品産業センターが実態調査

 (財)食品産業センターは「平成22年度食品産業における取引慣行の実態調査報告書」を6月15日発表した。

食品産業センターが実態調査 今年34月に加工食品メーカー(納入業者)へのアンケートで大規模小売店による優越的地位乱用の実態を調査した。
 結果は「かなりの改善が認められる」と「ある程度の改善が認められる」という回答の合計は約62%で、前年度に比べ約4%減少した。ここ数年の改善は足踏みと若干の増加で推移していたが、今回初めて減少に転じた。
 一方、「ほとんど改善が認められない」は約30%で、約6%増加した。最近の取引慣行は、大規模小売店のバイイングパワーを利用した不当な要求による納入業者の負担が軽減どころか、むしろ重くなりかねない動きさえも示したわけだ。
 しかし小規模な納入業者としては、不当な要求実態を直接告発することは、将来の取引きを懸念して非常に難しい。このことが優越的地位の乱用に歯止めがかからない大きな理由となっている。調査項目別には次の通り。

 【協賛金】大規模店から「協賛金を要求された」という回答は4割強。全体ではわずかに減少したが、業態別ではコンビニとディスカウントストアで1割近く増えた。
 協賛金の種類は「新規(改装)オープン協賛金」と「新製品導入協力同」が増加。禁止行為とされる「決算対策同」もやや増えた。 協賛金負担の割合は百貨店を除くすべての業態で“増えている”との回答が“減っている”との回答を大きく上回った。
 販促効果については「効果は期待できない、もしくは、ない」と「協賛金は不当に高い」の回答合計が5割を超えた。
 【センターフィー】 大規模小売店は自社の物流センターに商品を納入させてメーカーなどから使用料を取っており、メーカーの多くは使用料を「負担している」と回答。
 しかし昨年同様、その8割がセンターフィーの金額の算出基準、根拠が明らかにされていないと回答した。「明らかにされている」と答えた2割弱の企業においても、根拠として示されたものは「売上げの○%」とか「納品額×率」などという程度だ。
 このため食品産業センターでは「受容できる算出基準、根拠の説明がなされるべき」として改善を強く要望している。

 このほか報告書は▽従業員派遣の要請▽不当な値引き・特売商品などの買いたたき▽改正独占禁止法の認知度などの調査結果をまとめている。
 同調査は平成7年からほぼ毎年実施している。今年は食品メーカー1800社を対象にし、23業種298社から有効回答を得た。

(2011.06.21)