萬歳候補は、協同組合の価値を再認識して新たな協同の輪を広げ、▽わが国農業の復権、▽地域の再生、▽JA経営の変革を進めることを強調した。
また、「食と農をもって国を守る」ために以下の取り組みを重視することを明らかにした。
▽東日本大震災からの復旧・復興が最優先。人と人とのつながりや絆を大切にする価値観への転換を受け、安心・安全な地域循環型農業の確立に向けた国民的な合意形成を進める。
▽規模拡大や価格競争力のみを追求するのではなく、持続可能な農業の実現をめざす。集落や農地の実態に応じて資源を最大限活用する農業をめざす。
▽WTO交渉は公正公平なルールのもとで多様な農業の共存をめざしたわが国の主張を継続的に訴えていく。TPPによるゼロ関税と農業振興は二律背反、両立は到底不可能。TPP参加を検討すること自体ただちに中止すべき。
▽組合員・地域住民の暮らしを守るためにJAが地域のライフライン機能を発揮し新たな協同を生み出す。
▽組織の発展は人材の育成。人づくり、教育が協同組合の原点。農協人みんなでまとまってこの難局に向かっていく。
所信表明後に記者会見で改めて思いを語った。
――「食と農をもって国を守る」という思いを改めてお聞かせください。
「食というのはわれわれのエネルギーの源。安全なものを安定供給するのが農業で、その農業をもって国を守る、という思いです。TPP参加なら関税自主権もなくなり外交交渉力も低下し大変なことになる。まさに農は国の基だという感覚で、協同組合の役割を果たすべきだと考えています」。
――TPP問題についてどんな運動展開を考えていますか。
「ゼロ関税と農業振興は両立できないとうことです。
この問題では1000万人を超える署名が集まりました。まさに農業だけの問題ではないということを国民に理解いただくことが大事。そのひとつが国民皆保険制度。世界に冠たるいい制度だと考えているが、これが自由診療化することによって、個々の命がマネーで評価されるようになってはいけない。雇用も問題になると思います」。
――国際協同組合年に向けた所信を。
「市場原理の時代から、協同組合のお互いに助け合う共助、共生の時代に入りつつあると思います。
協同組合というのは小生産者が集まって大きな力、ということで組織されたもの。今回の大震災でもみなさんが示しているように、少ないものをお互いに分け合って克服するという気持ちが協同組合の根底にあるという思いがします。国民が冷静に対応していると諸外国が報道したように、お互いに助け合って、という社会でありたい。国際協同組合年を機会に協同組合をアピールしていきたいと思っています。
農協人として役職員一人ひとりがやはり共通の認識のもとで協同組合運動を拡大していくためには、こういうときこそ協同組合のありようについて理解をいただき、協同組合の価値をアピールしていただくことが大きく育つことになると思っています」
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