申請は3月に提出され官報に公示、6月25日に3か月間の縦覧期間が終了した。商品先物取引法では7月25日までに認可・不認可を決定しなければならないことになっている。通知しない場合は自動認可となるという規定もある。
◆戸別所得補償制度との矛盾は?
法律上の認可基準は[1]十分な取引量が見込まれるかどうか、[2]生産・流通に著しい支障を及ぼすおそれがないかどうか。
[1]については農水省は、米流通は自由な取引が行われており、前回の申請時(平成18年)にくらべ当業者の先物取引利用意向は増加していると評価(東穀16業者→39業者、関西12業者→関西47)している。
[2]については生産調整政策との整合性と矛盾しないかどうかが焦点だが、農水省は、米政策が戸別所得補償制度の導入で価格支持政策から所得政策に抜本的に転換し、メリット措置の拡大で生産者の選択制に大きく変わったと強調している。
戸別所得補償制度でも、国が生産数量目標を設定しているが、この点について筒井信隆副大臣は「量を通じた点で価格にも影響を与えることになると思うが、それは間接的なもの。以前のように価格そのものに影響を与える政策は一切とっていない。その点は前回(平成18年)と違う」と述べている。
また、JAグループは戸別所得補償制度では米価下落に対して、米価変動交付金を交付して補てんする仕組みが導入されており、先物取引でリスクヘッジをするとなるとこの政策と矛盾すると指摘している。
これに対して農水省は▽現行の米価変動交付金は全国一律の平均単価による支払いであり、直売などで平均販売価格より高く販売した生産者にも支払われる、▽先物市場は生産者にも価格変動のリスク軽減手段を提供とする、などの見解を示している。
◆「不認可の立証は困難」筒井副大臣
この問題について民主党の農林水産部門会議は6月22日に議論をしたが、試験上場について反対する意見はなかったという。むしろ今後の米政策については、この際、政府が価格に介入しないという政策としてはっきり整理させるべきだの指摘があったという。
今回の試験上場については、十分な取引量が見込まれないことや生産・流通に混乱を与えるといった2つのどの要件について国が立証しなければ不認可とすることはできない。筒井副大臣は「不認可の立証をすることは難しいだろうと考ええている」と述べている。