22年産のコメは夏の猛暑などの影響で1等米比率が61.6%と低かったが、近年、不良気象条件などによる乳白粒の発生が頻発している。
コメの登熟途中では良質米と乳白粒の区別が難しく、収穫前に玄米の外観だけで品質低下の度合いを予測するのは困難だった。今回開発した装置は、玄米を切断しスキャナーで解析するため、正確な区別が可能となる。生産者が被害を事前に把握すれば、農業共済の適用を受けるための被害申告も的確に行えると期待される。
1haまでの大きさのほ場であれば、対角線上の3点から、各点100粒を抽出して測定すればほぼ確実に乳白粒の発生度合いを予測することができる。現時点ではサンプルを採取して翌日には結果が出る予定だが、農研機構では「さらに迅速な測定に向けて今後検討したい」としている。
6月27日に宮崎県総合農業試験場で開催された「玄米品質の収穫前予測技術」研究会にもこの装置を出品。出席した宮崎県農業共済連からは、「収穫前に被害の判定ができるのはありがたい。農家へ伝える際にも断面画像など目に見えるものがあれば説得力があり、役立つだろう」とおおむね好評だった。
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上:研究会で機器を実演
下:検査機(左)とスキャナ