◆助け合いを実感
ICAは設立から117年になるがグリーン会長は初の女性会長だ。英国協同組合連盟の代表でもある。
「国際協同組合運動では世界のどこに危機があろうとも、日本が誰よりも先に支援の手を挙げた。今回の日本の震災は国際協同組合運動にとっても、個人、個人にとっても非常に心を揺さぶられるできごとだった」と話した。
被害の甚大さにショックを受けたというが、仙台では「被災者が本当に協同組合には助けられたと言っていた」と話し、仙台いちごの復活をめざしている生産者に対してJAグループが苗の提供や代替農地の手配などに取り組んで「人生を再びスタートできるよう支援するなど活動を目の当たりにした」と評価、協同組合の原理原則をまさに実現していたという。それは「連帯して共に働くこと。人間の強欲のためではなく人々が求めていることをサポートするために、だ」と強調した。
◆世界最大のNGO
グリーン会長は世界各地の協同組合からICAに現在までに寄せられた義援金54万ドル(約4300万円)を今回、JJC(日本協同組合連絡協議会)に贈った。義援金はまだジュネーブ本部に集まってきているという。
そのうえで、国連のアナン前事務総長が世界人口の半分は何らかのかたちで協同組合の恩恵を受けていると指摘したことを話し「われわれは世界最大のNGO。国際経済のなかでも非常に大きな存在であることを主張したい」と話した。
会長によると協同組合のトップ300組織だけでも売上げは1.6兆ドルにのぼる。これは「世界で10番目の国の規模」。カナダより少し小さいがスペインよりも大きい。組合員の数は10億人、1億人の雇用を創出しているという。フィンランドではGDPの23%を協同組合セクターが生みだしており「協同組合は巨大で事業範囲も広く、世界の隅々まで浸透しているのが事実」と強調した。
しかし、これだけの存在であることへの認識が低く、国際協同組合年は「われわれの認知度が高まるきっかけになる」とし、来年はロゴや標語をあらゆる組織が利用し「協同組合というモデルをおおいに広めていきたい」と話した。
◆価値観で競争
とくにリーマンショック以降、「世界の国民の意識はたった1つの支配的なビジネスモデルではなく代替モデルがあったほうがいいと考え始めている」「われわれはただ単に商業的に競争するのではなく価値観で競争するもの」などと指摘し、持続可能な社会、地域社会の再生、エネルギー問題、ケアなど「世界が抱える問題に対して協同組合モデルが答えを見つけるはず」と語った。こうしたメッセージをICA会長として世界に発信する集中的な取り組みを行うが「何と言っても地元の運動。地域の協同組合が自分たちにとっての課題を提起し、この一年をこんな年にすると主体的に運動することがいちばん」と国際協同組合への取り組みを期待した。