会見では「と畜場で検査して基準値(規制値)を超えたものは、やはり買い取って一切市場に出回らないというかたちで消費者のみなさんから安心感を持ってもらうことが必要じゃないかと考えている」と述べた。
買い上げ価格については「震災前か、震災直後か」と話し、セシウムによる汚染が確認されて以降に下落している現在の価格での買い取りは行わない方針も示した。
政府は7月19日に原子力災害対策特別措置法に基づいて福島県の和牛に対して出荷制限を指示した。
今後は、(1)計画的避難区域、緊急時避難準備区域とその他に指定された地域では、全頭検査を実施。暫定規制値を下回った牛肉については販売を認める。(2)県内の(1)以外の地域に対しては全戸検査(農家ごとに初回出荷牛のうち1頭以上検査)を実施。暫定規制値を下回った農家については出荷、と畜を認める、方針だ。
ただ、福島県のJAグループなどは全頭検査を求めている。また、関係業界からも福島県以外にも検査を広げるべきだとの声がある。これについては「広げていかなければいけないのは確か」と話し検討作業を詰めているとした。
また、現在の流通在庫についても国に買い上げを要望する声もある。これについては「基準値を超えて買い上げの合理性があるか。基準値を超えていないものについて、その必要性があるとはなかなか考えない」と述べた。
一方、暫定規制値を超えた農産物はすでに野菜や水産物などで出ている。牛肉だけ国が買い上げ対象にすることについて整合性が問われることになりそうだが「それは当然出てくると思う」としながらも、BSEの発生が確認された際には買い上げをしたことから「今、これだけの大きな不信、不安が出ている。完全に不安を抹消するためには一切市場に横流しも流通もされない体制をつくるためには必要かという最後の検討作業をしている」と述べた。
原発事故後に収集した稲わらを給与したことによって、放射性セシウムの暫定規制値を上回った牛肉が確認されたのは、7月20日現在で29頭。このうち11頭は出荷前に確認され市場には出回っていない。出荷したのは福島県の3戸の農家となっている。
20日現在で高濃度のセシウムが検出された稲わらを給与し肥育牛を出荷したことが確認されたのは19戸(福島県14戸)。出荷された頭数は637頭でうち福島県からは543頭となっている。