津波被害で農業に大打撃を受けた亘理町を支援する方法はないか―、今回の農家の受け入れは、亘理町の姉妹都市である伊達市の提案によるものだ。
農家は2年間、市が雇用を委託しているJA伊達市の臨時職員となってイチゴの試験栽培に取り組んでいく。移住するのはイチゴ農家7世帯。7月10日に4世帯が伊達市に移り、残る3世帯も8月末に移住する予定だ。JAから日給月給制による給与を受けて再起をはかる。
この支援には伊達市の“亘理というイチゴのブランド産地をどうにかして守りたい”という思いと、伊達の農作物として「スター選手になれば」(伊達市農政課)という期待もある。
伊達市は多品目の野菜が獲れる産地だが、メインになるスター品目がないといい、イチゴ栽培はこれまで1軒の農家しか行っていなかった。そこで亘理のイチゴ技術を定着させ、イチゴ栽培の拡大にもつながれば、と考えた。
亘理町では「とちおとめ」が主力品種だが、21日に定植したのは「なつみ」。これからはさまざまな品種と栽培方法を試しながら、伊達の環境にあったイチゴ作りを確立していく。
当面は亘理の農家が中心となって栽培を行っていくが、「今後もし農家の方が亘理に戻ったとしても確立した技術が残るよう、伊達の農家に引き継いでもらいたい」との願いで、イチゴに手を広げたいと考えている地元の農家や新規就農希望者がいれば、ともに作業していくことも考えているという。
現在は旧大滝村にあるかつての研究栽培試験場で作業しているが、10月以降はこれから建設される20棟のハウスで作業を行っていく予定だ。
(写真)イチゴ苗の定植作業を行う宮城県亘理町の農家