◆民間在庫量が指標
米の備蓄運営は今年度から棚上げ備蓄方式に転換した。
備蓄水準を毎年6月末で100万tとし、5年間程度備蓄した後、20万tずつ入れ替えていく。この20万tは飼料用など非主食用として販売し、毎年20万程度を買い入れる。この買い入れは、播種前の事前契約によって実施することになっている。
今回、食糧部会で決めたのは大凶作や不作が連続したなどの場合に、備蓄米を放出するためのルールだ。
基本的なプロセスは以下のようにする。
(1)定期的な情報収集によって米の安定供給に支障が生じる可能性が想定される場合、緊急調査を行う。
(2)緊急調査の結果、国内産米の生産量が需要量を下回り、備蓄米を放出しなければ翌年6月末の民間在庫量が例年水準を相当程度下回る可能性があれば食糧部会を開く。
(3)食糧部会で備蓄米の放出について、作柄、在庫量、市場状況などをふまえて議論。
(4)食糧部会の議論をふまえ農林水産大臣が決定。
◆販売は出来秋以降
基本プロセスにある緊急調査では、小規模な米卸など関係業者に調査対象を広げ米の在庫量などの状況を把握する。
放出のルールをめぐっては米の価格上昇も指標とすることが検討されたが、最終的には「価格」はルールから削除された。あくまで生産量が需要量を下回ることが想定された場合に絞られた。その指標となるのが翌年6月末の民間在庫量。その水準について農水省は「新米が出回ってくる9月までの2か月(7〜8月)分の供給量」との考え方を示した。現在の米の年間需要量は800万t程度(平成23/24年805万t)だから、130〜140万t程度となる。ちなみに今年6月末の民間在庫量は182万t。需給見通しでは来年6月には170万tと見込んでいる。
ただ、7月から8月は端境期ではあるが、九州や四国から超早場米が出荷される。部会では、6月末の在庫水準だけでなく、超早場米や9月の新米出回り量も想定したうえで備蓄米の放出を検討すべきとの指摘も出た。
また、放出を決定した後、一定の周知期間を出来秋以降に販売する。備蓄米はその年の新米とブレンドされて市場に供給されると考えられるため、市場に民間流通米が十分に流通している時期に販売を開始する。具体的な時期については、その年の市場動向をふまえて弾力的に設定することしている。
販売対象者は一定量以上の取り扱い規模(4000t以上)でとう精能力を持ち、あらかじめ登録した業者。販売方法は量に上限を設けて入札するが、過度の競争が誘発されそうな事態の場合は割当販売に移行するとしている。
備蓄米を放出した後の回復方法については、原則として20万tを超える特段の積み増しはせず、非主食用として販売する量を調節して数年かけて備蓄量を増やす。ただ、著しく量が低下した場合は、買い入れ数量の増加も検討することにしている。