農政・農協ニュース

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肥料は400ベクレル、飼料は300ベクレル 農水省が放射性セシウムの暫定許容値を設定

 農林水産省は8月1日、肥料と飼料について放射性セシウムの暫定許容値を決め2日に公表した。

◆耕畜連携など循環型使用は規制せず

 肥料のほか、土壌改良資材と培土(たい肥)に含まれる放射性セシウムの暫定許容値は製品重量で1kgあたり400ベクレルとした。
 この水準であれば、長期間(40年以上)施用しても原発事故前の農地の放射性セシウム濃度の範囲(最大で140ベクレル/kg)を超えないというのが根拠。 また、施肥作業による外部被爆の安全基準(年間10マイクロシーベルト、6月3日原子力安全委員会決定の廃棄物再利用のクリアランスレベル)を下回るという。
 一方で例外も設けた。(1)生産した農産物の全部または一部をその農地に戻す場合、(2)草地・飼料畑などで生産した飼料を畜産農家に供給し、その畜産農家からの家畜排せつ物やたい肥を、元の草地や飼料畑なども戻す場合、は暫定許容値にかかわらず使用できる。理由は、こうした循環的な利用であれば土壌汚染の拡大はないため。
 ただし、農水省は▽肥料等を購入したり譲り受ける場合はどの時期に、どの地域で、どのように生産されたかを確認する▽自ら生産した肥料等を使う際には、使った材料や保管場所を確認し放射性セシウムの状況については県に問い合わせる▽たい肥やその原料、飼料や飼料原料を販売・譲渡する際は生産状況に関する情報を適切に提供することなど農家に呼びかけている。

◆検査体制は検討中

 飼料については牧草、稲わら、配合飼料のすべてについて1kgあたり300ベクレル(粗飼料は水分含有量8割、その他の飼料は製品重量)を暫定許容値とした。
 飼料から畜産物への移行係数と食品中の暫定規制値(乳200ベクレル/kg、肉500ベクレル/kg)、さらに飼料の給与量から算出した。
 ただし、例外として当分の間、出荷を予定していない乳用牛と育成牛に給与する粗飼料について(1)畜産農家が自給生産したもの、(2)単一、または近隣の複数の市町村内で耕畜連携により生産されたもの、については1kgあたり3000ベクレルとした。
 農水省は飼料についても肥料と同様にいつ、どのように生産されたかなどの確認と放射性セシウムの状況についての県などへの問い合わせを呼びかけている。また、配合飼料については今後、23年産の国産の飼料用米や米ぬか、ふすまなどが使用される可能性があることから飼料全体についての許容値を定めた。
 そのほか養殖魚用飼料についても1kgあたり製品重量で100ベクレルとした。
 農水省は農家だけでなく飼料・肥料製造業者にも指導を徹底する。飼料・肥料の原料がこの暫定許容値を超える可能性が高いのは東日本地域だとして、今後のこの地域を対象に検査を実施することにしているが、どのような体制で実施するかは関係する県と調整していくという。

(2011.08.02)