◆「加害者が被害者を脅迫している」
農民連によると、これまで福島、茨城、群馬、千葉の各県組織が出した損害賠償請求への仮払いがいまだ一部しか実施されておらず、また30?圏内や個人の請求については受け付けが拒否されているという。
また東電の対応は、「損害賠償の証明をする責任は請求者にある」として膨大な証拠書類の提出を求めたり、「稲ワラや牛肉の汚染は東電の責任ではない」といった発言なども目に余るとして、謝罪と訂正などを求めた。
農民連の白石淳一会長は「加害者が被害者を脅すなんてことは許されない。福島では自殺する農業者が増えている。稲ワラの問題をはじめ、すべての責任は東電と国にある」と強調し、前述の謝罪とあわせて▽速やかな全面的賠償と賠償金支払期日の明示▽個人の請求も団体請求と同じく取り扱うこと▽提出書類は被害者負担を軽減し柔軟に対応すること、などを要請した。
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怒りの声を上げる生産者ら
◆牛肉価格が4分の1に急落
抗議活動に参加した千葉県の畜産農家の男性は、農場から牛2頭をトラックに乗せ、東電本社ビル前に引き連れてきた。
男性の農場では、主に外国産の稲ワラを給餌していたため放射性セシウムによる汚染は検出されなかったが、7月上旬ごろから枝肉の卸売価格が急落。先月までの価格に比べて4分の1ほどになり、「このままではエサ代すら払えない。この差額は誰が補償するんだ」と苦しい現状に怒りを滲ませた。
群馬県から参加したキノコ生産者は、「原発事故の影響で農産物を出荷できなくなり収入源を断たれてしまった。そのせいで月何十万円という栽培施設の電気代が支払えなくなったと東電に訴えたら、電気を止められ生産すらできなくなってしまった」と東電の対応への怒りをぶちまけた。
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「家畜の怒りの声を聞け!」と牛を引き連れて抗議
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・東電と国に全面的賠償と米政策の見直しなどを要求 農民連・食健連(2011.04.27)