◆「東北で生産を継続」75%
これによると、東北地方で生産を行っていた事業所が生産を国内他地域か海外にシフトするかという質問に、「現状のまま東北地方での生産を継続する」との回答は、回答事業所数177件のうち134件と全体の約4分の3にとどまった。一方、「国内他地域に生産の一部(全部)をシフトする」は14件(7.9%)で、主なシフト先は中部地方と九州がそれぞれ4件で、概ね関東以西に集中している。また「海外に生産の一部(全部)をシフトする」は4件となっている。
このほか、「現状では決めかねているが、将来的には他の地域・海外にシフトする可能性もある」が9件、「まだ分からない」が17件となっている。
◆「東北から調達を継続」は48%にとどまる
一方、東北地方から原材料・部品・製品などを調達している事業所500件に今後の調達先について聞いた設問では「現状のまま東北地方から調達を継続する」のは242件、48.4%と半数を下回った。
「東北地方以外の国内他地域に一部(全部)の調達先をシフト」が126件、25.2%。「日本以外の国に一部(全部)の調達先をシフトする」が50件、10.0%となっている。
「国内他地域へシフト」では、電気機械器具製造業(26件)、化学工業(23件)といった業種が多いほか、件数自体は少ないが消費財卸売業でも13件中6件が調達先のシフトを検討している。シフト先は概ね関東以西に集中している。
「海外へのシフト」も電気機械器具製造業(13件)、化学工業(10件)といった業種が多い。シフト先としては中国が圧倒的に多く、次いで韓国、米国、東南アジアなどとなっている。
生産および調達先を東北地方からシフトする理由でもっとも多かったのは「生産・調達を行っていた拠点が廃業、あるいは生産活動の再開の目途がたたない」が53.8%。「リスク回避策として分散する」が50.3%となっている。
この調査をまとめた日通総研経済研究部の佐藤信洋氏は「このままの状態が続くならば、多くの企業が東北地方から撤収を余儀なくされる事態が起こりかねない。そうした最悪の事態は絶対に回避しなければならない。そのためには、政府は早急に復旧・復興後のグランドデザインを描く必要がある。積極的な公共投資の実施に加え、民間企業による復興支援を助成し、東北地方における生産活動に対してインセンティブを付与するシステムを構築すべきだ」と提案している。