◆平成5年に次ぐ低水準
カロリーベース自給率低下のおもな要因は天候不順による生産量の減少だ。
北海道のてん菜は、昨年度は高温多雨で単収が対前年比で13%低下し、生産量も同15%低下した(▲55.9万t)。
小麦も北海道では収穫期に高温多雨、九州では春先の低温とその後の多雨などが影響し、作況は「68」だった。このため生産量は対前年比15%減(▲10万t)となった。
そのほかばれいしょ同▲7%(▲18万t)、かんしょ同▲16%(▲16万t)。これらの生産量減少で1.2ポイント低下し、小数点以下も示すと38.5%となった。
平成5年度は米の大凶作で37%にまで下がったが、22年度はそれに次ぐ低水準となった。
生産額ベースの自給率低下には、米価の下落、牛乳・乳製品の生産量減と価格低下、サケ、ホッケの不漁による魚介類の生産減が響いた。
◆3年ぶりに米消費量が増加
一方で22年度は、米の1人あたり年間消費量が前年度の58.5kgから59.5kgへと伸びた。増加に転じたのは3年ぶり。要因としては、コンビニの弁当、おにぎりが好調だったことのほか、東日本大震災発生後の買いだめもあるという。
また、米の生産としては戸別所得補償モデル対策による新規需要米の生産量増加も自給率上昇の寄与要因にはなる。22年産の新規需要米の生産量は11万4851tで、このうち米粉用米は2万7796t、飼料用米は8万1237tで、その他はバイオ燃料用と輸出用だった。
飼料自給率は前年度は24.7%だったが、22年度は24.9%とわずかに上昇。米の生産全体としてカロリーベース自給率には+6ポイント寄与したが、小麦やてん菜などの生産減が低下につながった。
◆2年間で2.4ポイント低下
カロリーベースの自給率は、20年度40.9%、21年度39.7%となっており、2年間で2.4ポイント低下したことになる。昨年3月に閣議決定した食料・農業・農村基本計画では、平成32年にカロリーベース自給率を50%に引き上げる目標を掲げた。
22年度の低下要因は天候不順による生産量の減少だが、21年度も同様に天候不順が要因だった。篠原孝農水副大臣は会見で「農産物は常に天候に左右されるもの。その典型的な例」と指摘。
農水省食料安全保障課は今回の結果について「かりに天候不順がなければ(自給率向上は)着実に進んでいた」とし、今年度からは畑作物も戸別所得補償制度の対象になって本格実施されることから、篠原副大臣は「米麦、なたねを利用する政策を実行していきたい」と自給率向上に向けた取り組みを話した。また、生産額ベースの自給率向上には6次産業化法による加工販売への取り組みも寄与することを期待した。
ただ、天候不順が要因の生産減による自給率低下が2年続いていることになる。気候変動を視野に入れた農業生産の安定、増大を図る生産技術対策も重要になる。
ちなみに、飼料用を含む穀物全体の自給率は27%でOECD加盟30カ国中、27位となっている。