TPP(環太平洋連携協定)について野田首相が「早期に判断する」と記者会見で語ったことについては、「前内閣で決めたことは、交渉参加の時期について総合的に判断するということ」と指摘し、首相も「そういう趣旨でおっしゃったと思う」とあくまで参加判断の「時期」についてであることを強調した。
そのうえで「TPPとはどういう交渉なのかを国民に提示できないで決めていくことは難しい」と語り、交渉状況について情報を把握するだけでなく、国民に情報提供をする必要がある考えも示した。
自民党、公明党との3党合意に盛り込まれた戸別所得補償制度の政策効果の検証については、合意に基づいて検証にあたっていくとしながらも、「農業者の4人のうち3人は制度を継続してほしいとしている」など意向調査結果もあることから「廃止するという考え方を前提とはしない」と話した。
【野田首相からの指示事項】
[1]東日本大震災からの復旧・復興と原発事故への対応
[2]放射性物質の拡大と風評被害の防止につとめること。食の安全確保に最大限努力すること
[3]6次産業化の推進。食と農林漁業の再生実現会議の中間提言にもとづく農林水産業の体質強化。戸別所得補償制度は政策効果を検証する
[4]昨年11月決定の包括的経済連携基本方針への取り組み
[5]林業再生プランに基づく路網整備、人材の育成など
[6]生産・流通・加工の一体化を図る水産業の復興
[7]口蹄疫や鳥インフルエンザの発生防止に万全を期す。
【TTPについて】
大震災によって大変換があった。被災地の方々の気持ちを当然、組み入れていかなければならないし、原発事故の対応にエネルギーを集中させていかなければならない。それを踏まえながら総合的に判断するということ。 TPPはどういう交渉か。今、24項目にわたって交渉がなされている。国民に対してTPPとは何か、どういう交渉なのかを提示できないで決めていくというのはなかなか難しい。総理ご自身も情報をしっかりと把握して総合的に判断していくと言われたと思う。
【3党合意に盛り込まれた戸別所得補償制度の見直しについて】
基本的にはこの制度を廃止するという考え方を前提とはしていない。しかし、3党合意だから政策効果の検証はやっていかなければならない。
同時にアンケート調査をみても農業者の4人のうち3人はこの制度を継続してほしい、という。だいぶ理解してくれるようになっていると思っている。
【農業団体等との意見交換】
JA関係の人、あらゆる関係の方のお話を伺いながら農林水産行政を進めていきたい。就任してから、どなたとはお会いしません、ということは一切しておりませんし、いろいろな方のご意見をお聞かせいただきながらやっていきたい。
【マニフェストに盛り込まれている食品安全庁について】
食品安全庁をつくったほうが迅速に事を進めることができるし、国民にも分かりやすい行政だと思っていただけると思うが、今はとにかく大震災と原発に優先的に取り組んでいる。少し落ち着いた段階でこの食品安全庁の問題に取り組まなければならないと思っている。
【米の先物取引】
今後の推移をしっかりと注視することが大事。
【食と農林漁業の再生実現会議について】
中間提言のなかでは、5年間をめどに平地では20〜30ha、中山間地では10〜20haの経営体と、相当野心的な取り組みが盛り込まれている。今後の生産性の向上という意味においては、規模加算等きちんと予算措置をやっていく必要もあるという認識を持っている。
財源については2つの意味がある。3次補正予算はとにかくスピード感を持ってやっていかなくてはならない。財源をどうするかと言っているうちに遅れをとってしまうようなことになってはいけない。総理自身の考えを受け止めなければならないが、私は代表選挙のときにも考え方として、公共事業が中心だから建設国債を発行してはどうかと。これは国会審議の必要がない。予算措置も相当スピード感を持ってやれる。
【成長戦略について】
農産物の輸出に対する考え方をしっかりと持って取り組んでいきたい。
国内ではせっかく6次産業化法案も通してもらったので、これをどうしても活かしていきたい。間違いなくこれからの農山漁村の活性化の決め手になる。全面的に農林水産省が後押しをしていきたい。 もうひとつは(再生可能エネルギー特別措置法による電力の)固定価格買い取り制度が成立したので、この機を逃してはならないということ。農林水産業と再生可能エネルギーの一体的取り組みをする。これは農村、漁村、山村だけが持っている未利用資源を活かすとこと。エネルギーの分散型システムをつくることが求められていることからも、一体的な取り組みをしていけば雇用の場、所得の向上にもつながる。将来の光を見出すことができるものと思っている。 その場合は地域の方々が投資しやすい、投資のあり方も検討していく必要がある。