◆通年販売をめざす
全農米穀部は丸紅との業務提携以降、23年産新米から両者の協力による精米販売を実現させる方針で約半年間協議してきた。
7月末にダイエーの店舗で販売したのは宮崎産コシヒカリ。全農は宮崎県経済連と原料供給について協議をし、一方、丸紅はダイエーと話をすすめ、7月28日から納品を開始した。
商品は5kgで一般米はメインの販売価格は1880円、無洗米は1980円とした。販売店舗数は約300。製造は東日本エリアは全農パールライス東日本(株)、西日本エリアは全農パールライス西日本(株)が担当した。
集中製造による効率化、コストダウンを図るとともに合理的な物流も実現した。中京地区の配送は愛知県経済連の物流ルートに依頼するなどJAグループ内の協力も得た。
今回の宮崎県コシヒカリは早期米の代表銘柄として根強い人気があることから提案、約300tを供給した。今後も多くの県産銘柄をダイエーで精米供給する予定となっており通年的な販売の実現をめざす。
◆ビジネスモデルの転換へ
丸紅との事業提携ではそのほか、コンビニ店のミニストップが販売するおにぎり、弁当などに使用する業務用精米販売も実現しているという。
JA全農では、これまでの玄米販売中心から精米流通を基本としたビジネスモデルへの転換をめざしている。米の販売環境は長期的な消費減など厳しい状況にあるが、消費者からは安心・安全に加え、経済性や環境への配慮なども求められている。精米流通は玄米流通にくらべて糠の分だけ輸送量も減り、消費地への環境負荷も少ない。こうした点でも消費者ニーズに応えることに
なる。
また、生産者にとって自分が生産した米がどの実需者を通じてどこの消費者に食べてもらっているのかが分かり、お互いの顔が見える生産と消費の関係を築くことにもなり、集中的、効率的な精米によるコストダウンで生産者の手取り向上にもつながる。
この精米販売にはJAグループ全体で取り組み、全農の3か年計画では24年度の目標数量を80万tとしている。米穀部では「『販売力強化』の取り組みの柱として1つ1つ実績を積み上げていきたい」と話している。
(写真)今回販売された宮崎産コシヒカリ。パールライスのロゴが目印だ。