農政・農協ニュース

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被災者を臨時職員に JAによる雇用支援

 東日本大震災から半年――。復旧・復興への取り組みは依然として大きな課題を抱えている。被災者の雇用問題もその一つ。JAが被災者を受け入れ、緊急雇用するケースも各地でみられる。

6月に休耕田で行ったマコモダケの植え付け作業 JA仙台(宮城県)は、大震災の影響で職を失った県内の被災者を6月1日から臨時職員として雇用している。「平成23年度緊急雇用創出事業」としてJAが委託を受け、多賀城市、利府町、松島町、七ヶ浜町の1市3町から各3名ずつ、計12名を受け入れた。
 雇用期間は24年3月末まで。主に塩害被害を受けた田畑の管理やがれき撤去など、復旧・復興に関する農業関係の仕事に従事しているほか、組合員への営農指導の補助として現場での作業も行う。
綿花の種をポットに播種した後、塩害農地に移植した そのなかで新規就業者が中心となっているのがイネ科の食用水生植物であるマコモダケと綿花の管理・栽培だ。
 6月に多賀城市内の休耕田にマコモダケを、また7月にはポット播種した綿花を塩害農地に移植。管理を続け、10月頃から収穫を迎える。綿花は塩分に強く、土壌の塩分濃度を下げる効果があるとされ、同JAが塩害農地を保有する市町に栽培を提案した。
 また、被害を受けたほ場を有用微生物群「EM」の利用で環境浄化しようという取り組みにも参加するなど、新規就業者は地域農業の再生に関わりながら仕事に励んでいる。

(写真・JA仙台提供)
上:6月に休耕田で行ったマコモダケの植え付け作業
下:綿花の種をポットに播種した後、塩害農地に移植した

 一方、山形県では県内に避難している震災被災者を雇用支援している。この事業を委託しているのが県内JAだ。
 震災後、JAグループが率先して独自に支援活動を行っていたことから、JAに県の事業として支援を続けてもらおうと山形県が県内7JAに呼びかけ、「震災被災者農業生産活動支援事業」を6月からスタートした。
 7JAのうち、JAやまがた、JAてんどう、JA山形おきたま、JAあまるめの4JAで同事業による雇用が実現。受け入れは各JA2名とし、6カ月の雇用期間中、臨時職員として雇用先のJAで業務にあたる。
 現在2名の臨時職員を雇用しているJAやまがた。業務内容は集出荷や水稲防除など営農関係の仕事が中心だ。そのほかに月1回程度、被災地での支援活動や、県内で就農の呼びかけに取り組む。
 JA山形おきたまでは、同事業で福島県からの避難者1名を臨時雇用している。日々の業務は主に集荷場や直売所での仕事だが、管内での就農を避難者に呼びかける活動としてチラシの配布なども行っている。
 同JA管内には福島第一原発事故による避難者が多く、これまでさまざまな県の委託事業の受け入れ先として7?8名を臨時雇用してきた。雇用期間は3カ月1年と各事業によって違うため、現在は3人の臨時職員が働いている。

(2011.09.14)