政策提案では、東日本大震災による環境変化と価値観の転換により、国民の多くは「安心して暮らせる地域社会」と「安全・安心な食料を安定的に消費できる社会」を望んでいる、と指摘し、「今まさにこうした農業復権による社会づくりに向けて政官民がそれぞれの役割を果たしながら行動すべき時」と強調した。
そのうえで例外なき関税撤廃を原則とするTPPは復興の足かせとなり、自給率向上目標を掲げた基本計画に逆行するものであると同時に持続的な農業の発展を阻害するものであるとして、政府はTPP参加を断念するよう強く求めた。
◆再生エネルギー対策求める
具体的な政策提案の柱は、(1)持続的発展が可能な農業・農村づくりに向けた基本政策の確立、(2)担い手経営体の育成・確保と農地の集積対策、(3)需給・価格安定対策と所得確保対策を基本とした品目別対策の確立、(4)地域経済・社会の維持・活性化に資する対策の充実・強化、(5)農村における再生エネルギーの自立・分散型システムの整備、(6)国産農畜産物に対する国民の信頼・価値観の向上の6つ。
農地の面的集積対策では「受け手」だけでなく農地の「出し手」に対策の強化を求める。戸別所得補償制度では▽異常な米価下落に対応可能な米価変動補てん交付金の確保など万全の予算措置、▽「産地資金」の充実と地域裁量の拡大、▽過剰米に対する出口対策の確立などを求めていく。
地域経済の活性化対策ではJA自らが加工事業を拡充するなどの6次産業化を円滑に進めるための対策などを求める。
今回、JAグループが新たに提起した問題は再生エネルギー政策。農村の地域資源を活かした小水力発電や太陽光発電など自立・分散型エネルギーシステムの整備や、これまでも政策として推進してきている国産バイオ燃料の持続的な生産を進めるなど、再生エネルギーの大幅な利用と生産拡大に向けた予算措置を求める。そのほか、原発事故によって傷ついた国産農畜産物の信認を回復するための対策強化も強調している。