開会のあいさつで日本酪農政治連盟の佐々木勲委員長は「この大会が今後若い世代にとって産業に取り組む意欲と希望が持てるものにしよう」と呼びかけた。
情勢報告した齋藤博幹事長は、国民のほとんどがTPPの内容を理解していないことについて「国際問題はあと戻りできない。私たちが中核となって問題解決に取り組んでいかなければならない」とし、「野田政権がどのような方向を示すのか不明だが、農業・酪農で生きていく者にとって安易に結論を出してもらいたくない。常にこの主張をいい続けていかなければならない」と強調した。
大会には各政党、各団体からも応援に駆けつけ、あいさつで激励した。
自民党・大島理森副総裁は「今政治がやるべき事はみなさんが希望を持って酪農、地域の再興、農業の再興にがんばれる基盤を作ること。みなさんの意志をしっかり受け止めて努力していく」、公明党・井上義久幹事長は「日本は食の60%を海外に依存している現状。これ以上、食、命を依存せざるを得ないような国に未来はない。日本農業が守られる戦いを進めていかなければいけない」と述べた。
JA全中・大西茂志常務は「大震災からの一刻も早い復旧と被災農家に対する補償、復興ビジョンの実行こそが最優先課題である時期にTPP参加の声があることは被災地の現状に目をつむり、農家の心情を無視したもの。強い憤りを感じる。口蹄疫の終息から1年が経過したが、被害を受けた約1000戸の農家のうち、いまだ半数が営農再開に踏み切っていないのは政府のTPP検討があるからだ。まさに農家の心を折る行為。組織の総力をあげて運動に取り組んでいく」などと語った。
TPPを考える国民会議・山本事務局長は交渉の中身が国民に何も伝わってこないことを指摘し「子孫に迷惑を及ぼさないような判断をするための情報発信をしていきたい」と述べた。
また、主婦連・山根香織会長は「震災と原発事故に国民が苦しみ、必死に前を向こうと努力しているときに十分な説明や意見の徴収がなくTPP参加の議論が進むことはあってはならない」、日本消費者連盟・山浦康明事務局長は「酪農家のみなさんがこれからも日本の食料自給率を高め、安全でおいしい酪農製品を消費者が享受できることが大切」と消費者側としての反対姿勢を強く示した。
【TPP交渉参加断固反対の決議】
現在、政府が検討しているTPP交渉参加の是非については、わが国の将来を左右する大問題にもかかわらず、国民に対する説明が大変不十分である。
世界のどの国も独自の風土に適した食文化を持ち、食料自給を国の基本政策としているが、わが国は60%もの食料を外国に依存している最も開かれた農畜産物輸入国である。
ゼロ関税を基本とするTPP交渉にわが国が参加することとなれば、世界食料危機が必ず訪れるにもかかわらず「食料自給率」はさらに低下へと向かい、「食料の安全基準」も外国主導となることは明らかである。
そして日本農業は壊滅的な大打撃を受け、我々酪農生産者が目指してきた食料の安全・安心や安定供給が損なわれることを深慮されたい。
よって政府・国会は食料を貿易の道具とする考えから脱却し、食料安全保障や国土保全、環境などの破壊につながるTPP交渉に加わることに断固反対する。
【大会スローガン】
▽新内閣は国民の声をしっかり聴け!
▽食を守れない国に未来はない!
▽国の責任で食料自給率を高めよ!
▽国土保全・多面的機能を持つ酪農を守れ!
▽国は国産食品の安全安心対策を徹底しろ!
▽震災・原発被害からの復興に全力を注げ!