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国産牛肉の信頼回復めざし「安全宣言大会」開催  全農東日本4県本部が一体となって

 東電福島第一原発事故の影響で出荷制限を国から指示されていた岩手・宮城・福島・栃木の4県の肉牛について、8月25日までに全県解除となり、県外への生体出荷が本格的に開始されることとなったことを受け、4県の全農県本部とJA全農ミートフーズ(株)は「今後出荷される牛肉の安全性」をアピールするため、9月27日、東京で「安全宣言大会」を開催した。

◆信頼回復へ新たな一歩踏み出す

 大会のスローガンは「国産牛肉の信頼回復をめざし、安全・安心の牛肉を消費者に届けるために、一体となってがんばろう」。
 会場には、4県の生産者や買参人など約350人が参加。東京食肉市場(東京都中央卸売市場食肉市場)での取扱牛肉の多くの部分を占める4県の出荷制限解除による消費拡大と価格の再浮揚に向けての取り組み強化に決意を新たにした。
 大会ではまず小原良教JA全農常務が、出荷制限解除後も放射性物質への消費者の不安は解消しておらず、牛肉の消費も回復の兆しも見えていない。こうした事態を打開するためにJAグループは団結して安全安心のメッセージを消費者に届けなければならない。
4県の安全宣言大会が開催されるこの日が、「日本の牛肉に対する消費者の信頼回復と消費拡大に向けてJAグループが団結して取り組むその決意を新たにする日であり、新しい一歩を踏み出す日」だと開会のあいさつをした。
 次いで全農の田沼征彦岩手県本部会長、竹中莞爾宮城県本部副会長、庄條徳一福島県本部会長、高橋一夫栃木県本部会長が、各県での「産地・生産者からの報告」を行った。また、上野善晴岩手県副知事をはじめ、宮城・福島・栃木各県の畜産担当者から「安全宣言」と安全への取り組みが報告された。

      竹中宮城県本部副会長竹中宮城県本部副会長庄條福島県本部会長高橋栃木県本部会長

(写真)左から竹中宮城県本部副会長、田沼岩手県本部会長、庄條福島県本部会長、高橋栃木県本部会長


◆組織をあげて販売活動を展開

 福島県の庄條会長は立入禁止になっている飯館村で野放しにされた牛が、荒れた田や畑を駆け巡っている姿をみて「心を痛めた」と語るとともに、「それにも負けずに生産者は明日への希望を捨てず、生きがいを求めて現在までがんばってきている」が東電からの支払いは遅いので、「心を込めて生業としていままで畜産業に携わってきた人たちが、路頭に迷うことがあってはならないと組織あげて、販売活動を展開している」。「私たちは命をかけて各産地の安全安心な牛肉を提供していくので、消費をしてもらい、今後も国民のみなさまに安全な牛肉を提供できるような環境をおつくりいただけることをぜひともお願いします」と切々と語った。


◆国による「安全宣言」を

4県本部長の音頭でがんばろうを三唱 また、4県の生産者を代表して渡辺悟岩手県農協肉牛経営者連絡協議会副会長、大友学仙台牛銘柄推進協議会副会長、鈴木廣直JAグループ福島肉牛進行協議会会長、磯野均JAグループ栃木和牛販促委員会会長が登壇し、磯野会長が代表して、いま肉牛生産者は「1日も猶予をもてる状況ではない」と厳しい経営状況を報告するとともに、消費者の信頼を回復するためには「国による『安全宣言』が第一ではないか」と訴えた。
 取引先を代表してメッセージを述べた東京食肉市場卸売商協同組合の腰塚源一理事長も「規制値以下の牛肉は安全だということを、国が消費者にキャンペーンし、理解を得られないと消費は伸びない」と、消費回復には国による「安全宣言」と直接消費者に向けたアピールが必要なことを強調した。
 今回の大会は生産者が意思統一することと、市場関係者へアピールすることが狙いだったようだが、今後はいかに消費者に訴えていくかが重要だという指摘でもあったのではないだろうか。
 農林水産省からは渡邉洋一生産局畜産部食肉鶏卵課長が出席し、来賓としてあいさつした。
 最後は全農4県本部の杉本博岩手県本部長、千葉和典宮城県本部長、宝槻直志福島県本部長、齋藤昭夫栃木県本部長が音頭をとり「4県合同でがんばろう」を三唱して終わった。
 なお、大会翌日の28日には東京食肉市場で「がんばろう東日本4県本部合同牛肉販売会」として各県24頭、合計96頭の和牛枝肉がせりにかけられた。


(写真)
4県本部長の音頭でがんばろうを三唱

(2011.09.29)