農政・農協ニュース

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福島県産の購入が「減った」人が6割 パルシステムの組合員意識調査から

 生協のパルシステム連合会では、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けエネルギー政策を検討する委員会を立ち上げて今後のあり方について論議している。エネルギー政策を策定するにあたり、組合員のエネルギーに関する考えや生活意識、実態を明らかにするため、8月3日から11日にかけて「第1回組合員意識調査」を実施した。
 そのなかから、原発事故以降、食料品購入に際して産地別の購入頻度の変化など、興味深い項目について紹介する。

 この調査は、パルシステムのエネルギー政策を策定するにあたり、(1)組合員の意識や生活実態のありようを知ること、(2)今後の日本のエネルギー配分はどうあるべきか、それを実現するくらしのありようもあわせて明らかにすること、をねらいとした。
 調査項目は、▽原子力エネルギーに対する意識、▽新エネルギーに対する期待、商品やサービスなどの選択変化(消費意識・行動の変化)、▽節電など暮らしの実態・変化など。
 調査方法は、オンラインパルの登録モニターによるインターネット質問紙調査で総回収数は1160サンプルとなっている。
 このなかから、農業関係者にとって関心が高いと思われる「原発事故後の商品の買い方」を中心に紹介する。

 

◆「産地」意識高まる

食料品を買う時に産地や製造場所を気にする

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 上図は「食料品を買う時に産地や製造場所を気にする」という意識が、原発事故後「より一層意識するようになった」が47%と約半数を占め、「以前までは気にしなかったが、意識するようになった」24%と合わせると7割強の人が、産地や製造場所を意識するようになった。
 年代別に見ても「以前まで気にしていたので、あまり変わらない」という回答が50代以上に高いが、年代別に見た差はさほど大きくはないといえる。
 下表は、「食料品の産地別・製造場所による購入頻度の変化」を聞いたものだ。
 これを見ると原発事故後「福島県産」の購入頻度が「減った」人が約6割もいることが分かる。また福島県以外の「東北地方産」でも「減った」人が38%となり、その一方で「西日本地方産」が「増えた」人が36%いる。
 とくに、子育て中と見られる20代、30代にその傾向が強いといえる。
 パルシステムでは、この調査結果が「パルシステム組合員の全体像(縮図)ということではありません」と調査報告書で強調しているが、記者らが取材して感じている傾向もほぼこの数字に近いといえる。先日も和歌山県に住む友人から「東京に住む娘から、孫のためにも関西の野菜を送って欲しい」と頼まれ定期的に送っているという話を聞いたが、これは例外的な話だとはいえない。
 福島県産の農畜産物はきちんと検査され、安全性が確認された上で出荷されているにも関わらず、消費者からはなかなか受け入れてもらえないという実態がある。
 この消費者意識を変えてもらうためには、何をすればいいのか。政府を含めて真剣に考えなければ、日本の食料供給基地である福島や東北から農業が消えてしまうかもしれない。そのとき、西日本だけで国民の食料を賄うことはできるのか。できなければさらに海外に食料を依存することになるのではないだろうか。
 なお、原発に関する意識や新エネルギーへの期待については、後日紹介する。

食料品の産地別・製造場所による購入頻度の変化(↑ クリックすると大きくなります)

(2011.10.26)