農政・農協ニュース

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特産イチゴで化粧品を開発  JA福岡市

 JA福岡市は企業や行政と連携して地元農産物を原料にした商品開発に力を入れている。
 そのなかでこのたび、特産品のひとつ「博多あまおう」を使った3つの新商品が誕生した。そのうちの一つは食品以外の加工品では初となる「化粧品」だ。
 あまおうを使った商品の開発は約1年半前、同JAと福岡市とによる「食と農の懇談会」で農商工連携による商品開発ができないか―という声がきっかけとなった。

◆女性部が協力

「ア・ラグジュアリー(あまおうの贅沢)」 化粧品は「ア・ラグジュアリー(あまおうの贅沢)」という商品名で10月21日から発売が始まった。化粧水、乳液、洗顔ジェル、リップケアの4点で、地元業者との共同開発によって誕生した。
 原料はすべて同JAいちご部会が生産したあまおうを使用。今年の5月に収穫した新鮮なあまおう約500kgをJAが買い取り、そのうちの約1割を化粧品用としてフリーズドライ加工し、そこから抽出したエキスを入れた。
 この化粧品の商品化に全面協力したのがJA女性部だ。化粧品は女性にとって必需品であることから、JAは食の安全に携わっている立場として食べ物からだけでなく、体の外からも新鮮な原料を使ったものを取り入れることで健康になってもらいたいと考えた。
 また、化粧品の開発を女性部の組織活動とすることで女性部の活性化につなげたいというねらいも。女性部組織はJAにとって大切な組織である一方、高齢化による組織の衰退が問題となりつつある。そこで開発にかかわり、その商品を使い広めていくことで組織の活性化を期待した。
 実際に開発に携わったのは女性部各支店の代表者と2人の女性理事。毎月開かれる「女性部協議会」の中で約1年、モニタリングによる検討を重ねながらネーミングや容量、パッケージのデザインなどにアイデアを出してきた。

◆使用感はもっちり

 発売日の当日は、毎年1回開かれる女性部の恒例行事「女性部サークル発表会」のなかで新発売セレモニーを行い、商品説明や寸劇による開発ストーリーが披露された。
 イチゴの化粧品と聞くと珍しいが、イチゴのエキスには「保湿」効果があるという。化粧品の使い心地について商品開発を担当した同JAの食農生活課に聞いてみると、洗顔は泡立ちがよくさっぱり、化粧水はすばやい浸透力、乳液はべたつかずしっかり伸び、保湿力があってもっちりした使用感、とのこと。
「女性部サークル発表会」に設置された販売ブース また「市内産の新鮮なあまおうを使っているので生産者の顔が見えて安心・安全な商品であることに間違いない。いろいろな化粧品があるが自分たちが作った商品をぜひ試してもらいたい」と話す。約1800人いる女性部員のなかにはまだ商品を知らない部員もいるため、まずは多くの部員に商品のよさを知ってもらえるよう各支店に出向いてPRしていきたいとしている。販売から約1週間、約130人から申し込みがあるという。
 将来的に売上げがあげれば女性部の活動費にしたいとも考えている。

(写真)
「女性部サークル発表会」に設置された販売ブース

(2011.11.02)