11月5日の有楽町駅前の街頭演説会で山田正彦前農相は集まった聴衆に向かって「TPPは農業だけの問題ではない。保険、医療、雇用、食の安全などまで交渉事項となり得ることは政府も認めている」と改めて強調し「まさに米国のスタンダードの押しつけ。将来の日本に禍根を残すようなことがあってはならない。本当に真剣に阻止しなければならない」と訴えた。
中野剛志京大准教授も街宣車に上がり演説。JAグループなどが提出したTPP参加反対の国会請願で国会議員の半数が紹介議員となったことや、都道府県議会のほとんどが反対決議をしていることなどを指摘、にもかかわらず「まったく国民に説明する気もなくそのまま押し切ろうとしている」と批判。こうしたAPECまでに参加表明しようとする日本政府の理由について「米国政権の浮揚のため、と記された政府内部文書があるとの報道があった。これはまさに売国ではないか」と強調した。また、今年が明治政府が日米修好通商条約の不平等性を解消し関税自主権を回復してちょうど100年めにあたることも指摘、「この年に開国の名で(TPP参加を)やるのか」と強調した。
そのほか与野党の反対する国会議員や有識者が演説。「民主党の訴えてきた国民の生活が第一どころか、TPPは米国の経済が第一ではないか」、「米国に追随すれば将来があると考える時代から脱却するときだ」、「TPPは日本とアジアを分断する。多国間協議の衣を被った日米協議にほかならない」などと訴えた。
街頭演説会の後は日比谷公園から国会に向けてデモ行進。「TPP交渉の情報開示がほとんどされないまま、APEC首脳会議までに協定交渉への参加を拙速に表明することには反対。早期に不参加の表明を」などとアピールした。