集会のテーマとなった「人・組織・地域のきずなを深める教育文化活動」について解題した三重大学大学院の石田正昭教授は、東日本大震災に加え浮上しているTPP問題はさらに地域の「きずな」を失うことになるとして「今まさにJAに降りかかる大きな試練、それを跳ね返すのがみなさんの課題。もともときずなで作られた協同組合だからこそ、いちばん力を発揮できる」と期待した。
また教育文化活動は協同組合活動の利点を地域の人々に理解してもらい共有することが大切で、組合員には教育よりも学んで実践してもらう「学習活動」の実践が重要だと述べ、出資や利用だけでなく、運営による参加を特に重視するべきだとして、JAの広報活動とあわせた実践の体制づくりが必要だとした。
1日目は先進JAによる実践報告としてJA東京むさし(東京)の坂本一郎常務理事とJA小松市(石川)の山根清弘常務理事が発表し、その後「組合員・地域住民との関係を強化するための私の実践計画案」についてチームで意見を出し合った。
2日目は全体討議を行い、組合員や地域住民との関係強化や教育文化活動の取り組みについて考えた。
西日本地区での集会は11月17日に福岡市で開く。
(写真)三重大学大学院・石田正昭教授
◆自主的な組合員を育成
JA東京むさしの坂本常務は平成21年7月にスタートした「組合員大学」について開校に至るまでの経過を中心に報告した。
管内は農業者が少ないため組合員にJAを正しく理解してもらわなければ未来はないとの考えから、組合員の自主的な活動を支援し、JA事業への参加・参画強化、次世代の養成を目的としている。開校するにあたって役職員や各地区支店長などと委員会を立ち上げて講座の検討など準備を進めた。2期目を迎えた今年度からはJAの基礎を学ぶ基礎講座と農業経営などを学ぶ専門講座による2年制に。卒業しても教育文化事業に関わり続けてもらうため「OB会」も設立している。
◆地域に密着した関係づくり
JA小松市の山根常務は第10次中期3カ年計画の基本目標の1つである「協同の絆づくり」をテーマに実践報告。
近年の総代会や説明会で組合員は株主、消費者という意識が強く、組合員意識の希薄化が高まりつつあるとして、組合員教育と組織の活性化を目的に昨年度から「ふれあい座談会」をブロックごとに実施した。今年は支店環境にあった座談会にするため各支店で行っていく。
今年度からは「支店ふれあい行動プラン」を始め、各支店単位で青壮年部や女性部などと連携し、体験農園や料理教室など独自のプランに沿った活動を行っている。
また女性部に所属しない地域の女性にもJA活動に参加してもらう機会をつくろうと、加工部会やボランティア参加者など個人会員による登録制にし、JAファン層の拡大をはかっている。