◆第一次産業系統独自の商談会
北陸3県のJAグループ・JFグループによる「北陸商談会」は昨年度にも開催されており、今回で2回目となる。
農林中金が主催することで、JAグループだけではなく、JFグループ(漁協)も加わり、地域の特色ある農畜産物と海産物、そしてその加工品などについて商談できることが、この商談会の大きな特徴。今年10月に開催された福岡での同様の商談会では、森林組合系統も参加するなど「第一次産業系統独自の地域商談会」だといえる。
今回の商談会は「北陸農林水産物の再発見」「北陸からの食材の提供」をコンセプトに開催された。この商談会は事前にセラー(JAなど売り手)から展示商品などを提出、バイヤー(買い手である食品関連企業である加工やホテル、外食など)から商談ニーズがあったセラーに対して商談の可否を確認し、双方で商談可能な案件について、商談会当日のスケジュールを調整し、各ブースで1商談あたり30分、最大6回の商談を設定する「事前マッチング」形式で行われた。
◆地元バイヤーの参加で前回上回る規模に
今回参加したセラーは34団体(前回30団体)でうちJAグループは14、JFグループが4だった。バイヤーは前回の13団体を大きく上回る31団体が参加。事前マッチングによる商談件数も111件(前回82件)の多数にのぼり、前回の規模を上回る商談会となった。
前回の商談会で、地元のホテルが地元の海産物で契約が成立したように、まだ地元でも知られていない食材があることから、「地産地消に積極的に取り組んでいる地元企業に幅広く案内した」ことで「昨年以上に地元バイヤーの皆さんに多く参加をいただき昨年度を上回る商談規模」となったといえる(東野正孝石川県信連代表理事常務の主催者あいさつ)。
各ブースでは夕方まで商談が行われ、商談成立に向けてよい感触をえたもの、コストや量的な問題から難しいケースなど各商談ごとにさまざまな反応があったようだが、産地や生産者により近い地元で行われたことで、消費地での商談会とはまた異なるよさがあるという評価が、セラーにもバイヤーあったようだ。これからもこうした商談会がさまざまな地域で開催されるようになれば、農業者や漁業者をはじめ生産者の励みになるのではないだろうか。
(写真)東野正孝・石川県信連代表理事常務
◆価格以外の価値・魅力を伝える
また今回は、商談会によるビジネスチャンスの拡大だけではなく、今後の販路拡大に向けた課題を考えるヒントを提供するという意味も込めて、日本スーパーマーケット協会の大塚明専務理事が「スーパーマーケットを取り巻く環境と最近の動向」と題して記念講演を行った。
大塚専務の講演内容は、食品スーパー(SM)の歴史的な変遷を振り返りながら、SMの現場の変化、つまり消費者ニーズがどのように変化してきたのか。そしてこれから消費者が食品に求めるものはどういう方向にあるかを具体的に分かりやすく解説。そのうえで、「消費者ニーズにあわせた産地規格の改善」や「価格以外の価値、魅力を伝える科学的根拠や素材のよさを知ってもらう啓蒙活動」などを、今後の産地の課題と指摘した。
(写真)日本スーパーマーケット協会・大塚明専務理事