萬歳会長は「TPP交渉に参加すれば日本農業が壊滅することから、交渉参加断固阻止がわれわれの主張だった。交渉参加を断念していないのは遺憾な判断である」と強調した。また、政府や与党の一部に「関係国との協議に入る」とは交渉参加を前提にしたものではないとの見方もあるが、萬歳会長は「(参加を)断念したのではないから、協議に入るということは交渉に入るということ。残念至極だ」と語った。
そのうえで今後も「さらに断固阻止をもって、いろいろな業界のみなさんと連携して運動を展開していきたい」と語った。
政府は関係国との協議に入り、各国が日本に求めるものについて情報収集に務めるとしているが、冨士重夫専務は「今後、さまざま業界にさまざまな要求と影響が出てくる。各業界、団体と連携して国民運動というかたちで運動を拡大していきたい」との考えを示した。
【TPP交渉参加に関する抗議声明】
◆断じて納得できない
本日、野田総理は記者会見において、政権公約(マニフェスト)に示されてもいないTPP(環太平洋連携協定)について「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」との方針を表明した。
APEC首脳会議における表明に固執し、過半を超える多くの国会議員の反対や、都道府県・市町村議会の圧倒的多数の慎重・反対決議を無視し、参加を断念しなかったことは、きわめて問題であり、わが国の将来に大きな禍根を残すものである。 わが国が今なすべき最大の優先課題は、TPP交渉参加に向けた協議の開始ではなく、発生から8か月が経った東日本大震災からの復旧・復興と原発事故の早期終息である。野田総理が情報開示も行わず、国民的な議論もないまま、交渉参加を断念しなかったことに対し、いまだに現状復帰すらできない被災地の人々の心情や暮らしの現状を踏まえれば、怒りを込めて、断固として抗議する。
国民の間には食と暮らし、いのちを守ってきた、わが国の制度や基準がTPPによって変更を余儀なくされるのではないかという不安と懸念がある。こうした国民生活の根本に関わる重大問題の説明責任を十分に果たさず、安易に「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と判断した野田総理の姿勢はきわめて遺憾であり、断じて納得できない。
今後、アメリカ、オーストラリアなどTPP交渉国から参加に必要な条件、すなわち例外なき関税撤廃をはじめ、医療、保険、郵政、政府調達など広範な分野における様々な厳しい要求に直面することになるが、わが国の国益を売り渡すようなことは断じて認められない。我々はわが国の食と暮らし、いのちを守るため各界各層と連携し、交渉参加阻止に向け、引き続き徹底して行動していく決意である。
平成23年11月11日 全国農業協同組合中央会会長:萬歳章