◆高い栄養おいしく伝える
「山形の花だから地域にもっと広めたい。子どもたちにも伝えていきたい」。そんな思いから「紅花若菜入りめん」は完成した。成長して花が咲く前のベニバナの若葉をパウダー状にして練り込むことで、ベニバナの栄養素が含まれていることときれいな色が特徴だ。
商品開発の発起人となったのは同支部メンバーで天童紅花まつり実行委員会でも活躍している大山るり子さん。現在は染め物として使われることが一般的なベニバナだが、昔から体によいとして花や葉が食べられていた歴史がある。そこで「見てよし、染めてよし、食べてよし」の3拍子揃ったベニバナを、「食」の面からももっと活用していきたいと開発を試みたのが今から約2年前のこと。まず、ベニバナのよさを仲間に知ってもらうため、ベニバナの効能を研究している大学教授を招いて講演会を開いたり、家庭で作れるベニバナレシピの料理講座を開いた。
栄養価が高いベニバナには老化の原因である活性酸素を除去する抗酸化作用がある。特に若葉にはビタミンEの効果で血の巡りをよくし体を温める作用がある。花だけでなく若葉の料理教室も開いて、色素がきれいで体にもいいことを知ってもらった。
こういった取り組みから「みんなで食文化をつくってみよう」とベニバナの若葉を使った商品開発が始まった。若葉を麺に練り込む方法に試行錯誤したというが、収穫したベニバナを水洗いし、天日干ししたものをパウダーにして製麺するという方法で完成品に行き着いた。
(写真)きれいな若草色の「紅花若菜入りめん」
◆休耕地を活用して栽培
現在支部のメンバー7人が作業に携わっている。ベニバナは女性部員が探してきた休耕地5aに種をまいて栽培し収穫している。収穫後はメンバー自らがミキサーやすり鉢を使ってパウダーにしており、一からの行程すべてが手作業。ベニバナの若葉は種まきから1カ月で収穫できるが、10kg収穫してもパウダーにするとたったの1kgにしかならず、何度も栽培を繰り返さなければならないため手間がかかる作業だ。
「紅花若菜入りめん」は10月30日、山口地区で開催された文化祭で初デビューとなり、販売した300束は完売。第2弾は11月12日の農業まつりで販売した。
大量生産は難しいが予約注文も入っているほか、地元の菓子屋からベニバナのパウダーがほしいとの問い合わせも受けており、注目が高まっている。
大山さんは「いずれは学校給食に使ってもらえたら。多くの問い合わせを受けているので、いずれ地元に広がっていけばうれしい」と話す。
(写真)
上:ベニバナを使った調理実習のようす
下:ベニバナを栽培している畑