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原発事故以降、農薬への関心も高まる  鯉淵学園でシンポジウム

 鯉淵学園農業栄養専門学校(茨城・水戸)は11月6日、学園祭特別シンポジウム「農業・食品と放射能を考える」を開いた。

◆食への価値観に変化

(右から)長谷川氏、廣瀬氏、関氏 シンポジウムには、長谷川圀彦・静岡大学名誉教授、関幸博・ミールケア社長、廣瀬勝志・照沼勝一商店農場長の3人が登壇した。
 長野市を中心に幼稚園・保育園や老人ホームなどの施設向けに給食サービスを展開している関氏は、独自に子どもを持つ親を対象に取ったアンケートから、「原発事故の前後で、消費者の食に対する価値観はがらっと変わった」と述べた。というのも日々の食事で何を重視するかについて、原発事故前には栄養やおいしさが上位だったが、事故後は放射能、残留農薬、などが上位になったからだ。放射能だけでなく農薬への関心も高まったことから「(原発事故は)食の安全について、消費者がもう一度考え直す大きな転機になったかもしれない」とした。

◆普段からの信頼関係が大事

 照沼勝一商店は茨城県東海村で有機栽培のほしいも生産をしている。今回の福島は、1997年旧動燃火災爆発事故、99年JCOと併せて「3度目の放射能被害」だという。JCOの時は風評被害による取引停止が相次ぎ、回復に5年を要した。今回はそれ以上に世間の関心が高く、過去に取引がないにもかかわらず「おたくは大丈夫ですか」などの問い合わせが多数あるという。いつ収束するかまったくわからない状態だが、「独自に放射性物質の検査機を導入し、お客さんに“安全”を提供する活動を地道にやっていくしかない。普段の業務からどれだけ信頼関係を築いているかが重要だ」とした。
 これからの放射能と食のリスクについて長谷川氏は、「マスコミや数字の独り歩きに踊らされず、専門家と消費者と生産者が科学的に正しい知識を共有し、コミュニケーションを密にとることが必要だ」とまとめた。

(写真)
(右から)長谷川氏、廣瀬氏、関氏

(2011.11.17)