……世界に誇る日本の医療制度、日本の伝統文化、美しい農村、
そうしたものは断固として守り抜き、
分厚い中間層によって支えられる安定した社会の再構築を実現する決意だ。……
(平成23年11月11日、野田総理の記者会見)より
政治の責任を問い続ける
◆政策決定プロセスが崩壊したニッポン
――野田首相はTPP交渉の参加に向けて関係国との協議入りを表明しました。この判断をどう見ますか。
結局、最初から参加表明すると腹を括っていたわけです。それなのに体裁を整えるため党のPT(プロジェクトチーム)で議論してほしいというかたちにしておき、しかし、どんな結論が出ようとも野田総理は参加表明をするつもりでいたということです。しかも、判断を一日延ばしたのだから熟慮したのだという。これは茶番だし、まさに国民を愚弄するものです。
問題なのは、そもそも政治の意思決定プロセスが完全に崩壊していることです。議論を積み上げて結果を出すということは、はなから考えていない。党のPTの提言だけではなく国民の民意もふまえないというかたちをとりました。
何度も強調されているように47都道府県のうち明確に賛成と言った知事は6人しかおらず、44の道府県議会で反対または慎重に対応すべきと決議しているし、市町村議会でも8割以上が同様の決議をしています。
各地を回っていて分かるのは、地方紙はほとんどが反対または慎重な対応を、という社論です。感覚的には日本の面積の9割にあたる地域が反対しているということがひしひしと感じられた。しかし、これがまったく無視されたのです。