農政・農協ニュース

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23年産米 「ふるい下米」が前年比10万t増 JA全農の試算

 農林水産省が10月15日現在で公表した23年産米の全国の作況指数は「101」で予想収穫量は813万4000tが見込まれている。同省公表の10月末現在の1等米比率は82.5%と高いがJA全農の試算によると「ふるい下米」は前年産より10万t多く発生しているという。23年産米の集荷・販売状況などをまとめてみた。

◆過剰作付けは大幅減

 23年産主食用米の作付け面積は152万6000haと見込まれており、予想収穫量は813万4000tとされている。前年産(823万9000t)より、10万5000tの減少となる見込みだ。
 23年産の生産数量目標は795万tで、これを面積換算すると150万4000haとなることから、過剰作付け面積は2万2000haとなる(152.6万ha―150.4万ha)。昨年の過剰作付け面積4万1000haより大きく減少した。
 23年産の1等米比率は10月末現在で82.3%。22年産の品質は過去10年で最低で1等米比率が62%となったことにくらべて、平年並の水準となったが、JA全農の試算では、ふるい目1.85mm未満の「ふるい下米」の発生率は4.5%、36万6000tで、22年産米の発生率3.2%、26万4000tより10万2000t多くなっている。
 一方で、1.85mm以上は前年産より20万7000tの減少となっている。


◆販売価格は上昇傾向

 10月末時点の連合会出荷米の集荷実績は188万7000tで出荷契約対比で61%となっている。
 今年産の連合会集荷に与える影響として、全農は▽前年産より生産量が約11万t減少していること、▽ふるい下米の増加、▽東日本大震災後の22年産米不足や23年産米の先行き不透明感からの集荷業者の動きの活発化などのほか、JA直売の増加などをあげている。
 集荷業者の動きの活発化には、従来からの業者に加えて大手商社などの動きも加わっているとみられる。
 農水省公表の23年産米の9月の相対取引価格は全銘柄平均で60kg1万5196円となり、22年産とくらべて117%となっている。銘柄によっては2割から3割、玄米価格で上昇しているものもある。 これを反映し10月に入って末端に精米価格への転嫁もみられるようになり、5kgあたり100円〜200円の値上げとなっている。
 一方、業務用米でも実需者と卸売業者の間で価格交渉が行われており、全農によると前年対比で1kgあたり40円程度の値上げ提案がされており、1kgあたり250円〜260円程度の相場になっているという。
 ただし、前述したようにふるい下米の発生量は前年より多く、いわゆる中米が増えていることになる。しかし、一方では23年産の加工用米(うるち米)の生産量が前年産より7万t近く生産減を見込んでいるため、その結果、中米の価格は業務用米価格に引きずられるかっこうで上昇、1kgあたり150円〜180円の相場となっているという。

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◆輸入米の数量増える

 全農の試算では、主食用の需要量が国の基本指針どおりの805万tであれば24年10月末在庫(23年産米の持ち越し在庫)は、8万〜23万t程度になるとしている。
 このように幅のある見込みとなっている理由として▽22年産米の品質低下に精米歩留まりの程度(0〜10万t)、▽23年年度の需要量の増加(0〜8万t)、▽東日本震災による米の流出や損失等(0〜▲3万t)などの要因があり、いずれも不確定なためであるという。
 とくに需要の動向については、震災後の需要急増による家庭内在庫や、さらに原発事故による放射性物質に対する消費動向など、不透明な要素が多いとみている。総務省の家計調査によると米の消費量は一貫して減少傾向が続いており、今年9月の1世帯(2人以上世帯)あたりの購入量は8.52kgと前年を4.6%下回る結果となっている。
 こうしたなか、一方で国産米価格の上昇からSBS(売買同時入札)による米の輸入は昨年度実績を大きく上回っている。
 22年度は9回も入札したにもかかわらず1万tあまりしか落札されなかった。しかし、今年度は9月と10月の2回の入札ですでに3万9890tが落札されている(年間入札予定数量は10万t)。
 売り渡し価格は1kg210円程度となっており(表)、前述した業務用米の価格帯に相当することから業務用向けへの輸入米販売が考えられる。

(2011.11.30)