農政・農協ニュース

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復興需要が国内景気を下支え 農林中金総研の経済見通し

 農林中金総研は11月17日、2011〜13年度経済見通しを公表した。日本経済について輸出は伸び悩む一方、復興需要が国内景気を下支えすると見込み、2012年度の実質GDPの成長率は2.1%と予測した。

 農林中金総研は、日本経済について、東日本大震災からの復旧進展や消費マインドの回復で、国内景気は持ち直し傾向を続けていると指摘。しかし、夏以降は、世界経済の減速の顕在化、歴史的な円高で輸出・生産に足踏み感が出ているという。さらに年末にかけては公的支出が息切れすることや、輸出環境の悪化などにより、10―12月期は再びマイナス成長となる可能性を指摘している。
 ただし、年明け以降は第3次補正予算による公的支出が再び景気を下支えし、潜在成長率を上回る成長がしばらく続くとみる。
 そのうえで、補正予算等による復興に向けた公共事業による景気押し上げが顕在化するのは2012年度に入ってからとみて、11年度の実質GDP(国内総生産)成長率は前年度比0.4%と予測した。9月予測ではゼロ成長としたが上方修正した。10年度の成長率2.3%にくらべれば大きく落ち込むことになるものの、2年連続のプラス成長を見込んでいる。しかし、物価変動を排除しない名目GDPの成長率は▲1.7%と2年ぶりのマイナス成長を予測した。
 12年度については、輸出環境の好転は望めないが、復興需要が本格化し、それにともなって民間需要が刺激され引き続き回復基調を続けると想定。12年度下期は復興需要も一服し成長率は減速するものの、年度を通じての実質GDP成長率は2.1%と潜在成長率を上回る成長を予測している。名目GDP成長率も1.5%で、2年ぶりにプラスに転じるだろうとしている。


◆13年度GDP成長率は1.8%

 さらに今回は新たに13年度見通しについても公表した。
 13年度は、復興需要の主役が「公的部門」から「民間部門」へとシフトし、海外の景気も緩やかに持ち直すなどの要因もあって、実質GDP成長率を1.8%、名目GDP同を1.4%と予測した。
 また、政府・日銀に対しては、円高急伸や内外の金融資本市場の混乱への対応は力不足だったと指摘し、円高・デフレの悪循環を断ち切るためには、「日銀に一段の金融緩和策が求められている」としている。

(2011.11.30)