北農研が開発した新たな製粉技術は、コメを苛性ソーダなどのアルカリ性の溶液に浸したまま粉砕し、中和して乾燥するというもの。これにより従来の米粉では平均粒径が40μm以上あったのに対し、20μm以下と細かくなるほか、5%以上あったデンプン損傷率も2%以下に抑えられる。
米粉でパンをつくる場合、パンを膨らませるために小麦グルテンの添加が必要だ。しかしデンプン損傷率が低ければそれだけでパンは良く膨らむため、新技術でひいた米粉を使えばグルテン無添加のパンをつくることができる。グルテンは一般的に輸入品が多く、また高価なため、この米粉を使えば食料自給率の向上、生産コスト減にも効果があると期待される。
北農研の船附稚子主任研究員によれば、「アミロース含有率が20〜25%ほどのコメであれば、この製粉技術が可能」だという。試験ではそれに合致するコメとして「ほしのゆめ」、「きらら397」、「ななつぼし」などを使用した。
新しい米粉は、すでに北海道と新潟の製粉会社の提携により「シルキースノウ」の商品名で販売され、道内の洋菓子メーカーや製麺所などで利用されている。船附氏は「道産の小麦粉とあわせることで、さまざまな用途に加工できるので、100%国産の米粉食品開発に役立つ」と、さらなる普及拡大を期待している。